近所の人が、うちの「桜の木」から枝を折って持っていきました。「損害賠償」を請求できるでしょうか?

桜の木の枝を勝手に切って持っていかれた! 罰則はないの?

自宅の桜の木の枝が勝手に折られて、持って行かれてしまった場合、二つの法律違反に該当する可能性があります。

桜の木の枝を勝手に切ったり折ったりすることは、他人の物を壊すことになり「器物損壊罪」の可能性が考えられます。刑法261条で定められている器物損壊罪の概要は以下の通りです。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
出典:デジタル庁 e-Gov法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法 第二百六十一条

また、その桜の木の枝を持って帰ると「窃盗罪」に問われる可能性も考えられます。窃盗罪については、刑法235条で以下のように定められています。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:デジタル庁 e-Gov法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法 第二百三十五条

自宅の桜の木が被害にあったら、損害賠償は請求できる?

桜の木はダメージに弱く、特にソメイヨシノはほかの桜と比較して寿命が短く、幹や枝が腐敗しやすいといわれています。それで、桜の木の枝を折られてしまうと、樹木自体が台なしになる可能性があります。

大切に育ててきた桜の木が被害にあうと、損害賠償を請求できないのかと考えることでしょう。

前述の「器物損壊罪」は親告罪で、被害者からの告訴がある場合にのみ刑事罰が科されます。
※出典:法務省「【刑法】現行法において親告罪とされている罪名について」

それとは別に、民事上の不法行為として損害賠償を請求、もしくは相手からの示談交渉に応じることで、賠償を受けられる可能性があります。

民事裁判では、被害相当の損害賠償を請求できますが、裁判に勝てる可能性や受けられる賠償額については、事前に弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。一般的に裁判は手間や負担がかかるため、相手方に対して示談交渉をおこなうケースも考えられます。

桜の枝を勝手に折ったら器物損害罪に該当!? 損害賠償を請求できる可能性あり

人の家の桜の木の枝を勝手に折って持って行くことは「器物損壊罪」および「窃盗罪」に該当する可能性があります。自宅の桜が被害にあって犯人を告訴する場合は、犯人が見つかってから警察署に被害届を提出します。

刑事責任とは別に、民事裁判で損害賠償を請求したり、相手からの示談に応じたりすることで、賠償を受けられる可能性もあるため、桜の木が被害にあった場合は、専門家に相談するといいでしょう。

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法 第二百六十一条 第二百三十五条
法務省 【刑法】現行法において親告罪とされている罪名について 資料17

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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