日本がマイナス金利を解除、インフレ率の上昇受け

日本銀行は19日、17年ぶりに政策金利を引き上げ、マイナス金利を解除した。

日銀は、主要政策金利を0〜0.1%程度で推移するよう促すと発表。これまでのマイナス0.1%から引き上げた。消費者物価の上昇を受けて賃金も上昇傾向にあるとしている。

日銀は2016年に、停滞する日本経済を刺激しようと、金利をゼロ%以下に設定した。

今回の利上げにより、マイナス金利を適用している国はなくなった。

日銀はまた、金利をコントロールするために日本国債を購入する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃した。

YCCも2016年から実施されていたが、長期金利の上昇を抑えることで市場を歪めているとの批判があった。

発表の中で日銀は、YCC撤廃後も「これまでとおおむね同程度の金額」で長期国債の買い入れを継続するとともに、長期金利が急激に上昇した場合には増額も実施するとした。

昨年4月に植田和男総裁が就任して以来、日銀がついに利上げに踏み切るのではないかという観測が高まっていた。

公式発表によると、1月の消費者物価指数((変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数)の上昇率は、鈍化しているとはいえ、日銀目標値の2%を維持していた。

コンサルティング会社EYパルテノンの小林暢子氏はBBCの取材に対し、最終的な利上げ決定は、日本の大企業が生活費の上昇に対応するため、労働者賃金を引き上げるかどうかにかかっていたと語った。

日本労働組合総連合会(連合)は今月15日、大企業などとの春季労使交渉(春闘)の1次集計で、今年の賃上げ率は平均で5.28%となると発表。5%を超えたのは33年ぶりとなる。

日本では消費者物価の上昇は非常に緩やかか、あるいは下落さえしており、賃金は1990年代後半から横ばいだった。

しかし、インフレ率の上昇は、日本経済にとって良いニュースにも悪いニュースにもなり得ると、小林氏は指摘する。

「もし日本が生産性と国内需要を刺激できれば、良いニュースになる。一方で、戦争やサプライチェーンの混乱といった外部要因によるインフレが続くなら、それは悪いニュースだ」

日本の主要株価指数の日経平均株価は今年2月、34年前に記録した史上最高値を更新した。

一方で今月には、昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の改定値が発表され、日本経済はテクニカル・リセッション(景気後退)入りを回避した。

内閣府が11日発表した2023年10~12月期の実質GDP改定値は、前年同期に比べて年率でプラス0.4%と、先月発表された速報値のマイナス0.4%から上方修正された。

新型コロナウイルスのパンデミック中、世界各国の中央銀行は、国境閉鎖やロックダウンの悪影響を打ち消そうと金利を引き下げた。

中にはスイスやデンマーク、そして欧州中央銀行(ECB)など、マイナス金利を導入した国もあった。

しかしそれ以降、アメリカの連邦準備制度理事会(FCB)やイギリスのイングランド銀行を含めた各国の中央銀行は、物価の高騰を抑えるために積極的に金利を引き上げている。

(英語記事 Japan finally raises interest rates as inflation wish comes true

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