甲子園に「田辺が大将」響く 大声援で得点後押し

「田辺が大将」と声を張り上げて応援する田辺高校の生徒(兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で)

 和歌山県の田辺が昨秋王者の星稜に挑んだ18日、甲子園球場には、生徒や保護者、卒業生ら約3千人が詰めかけ、大声援を送った。田辺は2―4で敗れたものの、伝統の応援歌「田辺が大将」が鳴り響く中、点を取られても取り返し、強豪打倒にあと一歩まで迫った。

 一塁側のアルプススタンドは、田辺のユニホームと同じえんじ色のジャンパーや帽子を身に着け、タオル、メガホンを手にした応援団で埋め尽くされた。えんじ色を揺らしながらの声援が、球場を田辺ムードに染めた。

 1点を追う3回裏。ランナーが二塁に進むと「田辺が大将」が、今大会初めて響いた。2死から右前適時打で1点を返した。

 1点を奪われ迎えた4回裏。1死三塁の場面で再び「田辺が大将」が響く。スクイズを決めて同点に追い付いた。

 ホッケー部所属で、助っ人として学校応援団に加わった中嶋涼葉さん(2年)は「野球は大好き。応援に乗って得点が入り、私たちの声が届いていると感じられた。一緒に戦っているようで気持ちいい」とメガホンを手に「田辺が大将」と声を張り上げ続けた。

 1995年に夏の甲子園に出場したOB、警察官の亀田将功さん(46)は「僕らの時は浮足だってしまったけれど、後輩たちは粘り強い。応援を力に変えられるほど落ち着いている。ここまでのシーソーゲームを見せてくれて興奮している」と感嘆した。

 小売業の初山徹さん(40)も野球部OB。小学生時代に、甲子園で田辺を応援した記憶がある。同じ体験をしてほしいと長男の海碧君(上秋津小6年)と次男の波琉君(同4年)を連れ、一緒に応援した。

 少年野球で左翼手の海碧君は「甲子園は歓声がすごい。そんな中で、外野手の守備がかっこよかった」、中堅手と投手を兼ねる波琉君は「強豪相手に一歩も引かない投手がすごい。あんなボールを投げたい」と話し、「僕たちも甲子園を目指したい」と目を輝かせた。

 2点を追う9回裏も1死二、三塁の場面で「田辺が大将」が鳴り響き、逆転へのムードが高まったが、最後は一歩届かなかった。

 野球部OBで最前列で声を張り上げ続けた内装業の横田圭亮さん(41)は「投手は自信を持って投げられていた。9回に打たれたヒットも打球は詰まっていて、打ち取ってもおかしくなかった。得点を取り返すたくましさもある。本当にかっこいい後輩たちで、今年の夏が楽しみ」と次の挑戦へエールを送った。

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