【鎌倉 グルメレポ】Pondichéry ポンディシェリー - フレンチとスパイスを融合させたノージャンルな創作料理

友達は、クリムトの絵の様だと表現した。
その料理は、絵に描いたような妖艶さを放ち、どこから手を付けて良いか(言い換えれば、どこから壊して良いか)迷うほど完成されていた。しかも、その予想を超えた美味しさには、ただただ感動するしかなかった。
氷を削った様なお皿に盛り付けられたのは、白や紫、ピンク、オレンジといったカラフルな料理。フレンチの様でもあるが、一つ口に運ぶと、薄らと南インドのスパイスが絶妙なバランスで口の中に広がる。
クミン、ターメリック、コリアンダー、カルダモン、etc。スパイスを使うと、どうしてもその香りからエキゾチックな料理に成りがちだが、『Pondichéry』の料理は、それを強調しない。
そこには、熟練されたフレンチの技法とスパイスを融合させた、ノージャンルの創作料理があるのだ。

お店紹介

鎌倉駅から小町通りを鶴ヶ岡八幡宮方面へ向い、“まめや”のある十字路を左へ折れると静かな住宅街の通りに入る。その通りを進み、右にちょっと入ったところに『Pondichéry』はある。
2023年6月にオープンしたばかりのまだ新しいお店だ。
オーナーシェフは、本多健比古さん。数軒のフランス料理店で修行を積んだ後、“京急観音崎ホテル”副料理長、“葉山ゲストハウス33”料理長、“株式会社Hestia company”総料理長等を歴任。その後フリーの飲食コンサルタント・料理漫画の監修など活動の場を広げ、この度生まれ育った鎌倉にオープンしたのが、南インドのスパイスを使ったレストラン 『Pondichéry』 なのです。

画像出典:湘南人

お料理紹介

お料理は、全4品、6品、8品からなるコース料理です。
旬な食材を使ったメニューは、2ヶ月毎に書き換えられます。

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今回頂いたのは、「MenuB スタンダードコース6品」 ¥5,940(税込)。 では、さっそくご紹介します。

1品目 湘南豚のリエット・パプリカ 蕪のデクリネゾン 豚肉のリエットは、ブランド豚の肩ロースを塩と香味野菜で1週間マリネした後、柔らかくなるまで火を通してから細かくほぐしています。

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2品目 スターアニス・タイムが香る鮮魚のコンフィ オニオンヌーボー・プティポワ 左手前、今日の鮮魚はブリです。ブリをスターアニスとタイムでコンフィしています。
上に乗っているオニオンヌーボーは、オーブンでローストしてから特製ドレッシングにつけ込んでいます。
右手前に添えられているのは、鎌倉野菜のサラダです。
中央の紫色のジャムは、玉葱をトロトロに炒めて、赤ワイン、赤ビネガー、蜂蜜で作っています。
緑色のソースは、グリーンピースのソース。
見た目にはわからない、スパイスの奥深さを探求させられる一品です。

画像出典:湘南人

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ローズマリーとガラムマサラのパン ローズマリーと辛みを抑えたオリジナルのガラムマサラを練り込んだ、自家製パン。

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3品目 冬野菜のスープ 冬野菜は、さつまいも。さつまいものクリームスープに、さつまいもチップを入れて、シナモン、ピンクペッパーで香り付けをしています。

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4品目 旬魚のグラタン仕立て ナツメグの香り 本日のお魚はクロダイ。赤キャベツを甘酸っぱくしたものを底に敷いてあります。
ナツメグの香りが、クロダイ、赤キャベツ、ベシャメルソースの美味しさを引き立てます。

画像出典:湘南人

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5品目 ポワローとマッシュルームを詰めた若鶏のロースト バイマックルソース ポワロー(西洋ネギ)とマッシュルームを炒めて、冷ましてから鶏肉に巻いて焼いています。
人参は、クミンシードを入れたオレンジジュースで煮て、その後、提供前にバターでソテーしています。
バイマックルソースは、フォンドボーをベースに、タマネギのみじん切りとバイマックル(こぶみかんの葉)で作ります。

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6品目 マサラプリンとカシスのソルベ キャラメルソース

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飲み物 インドのお酒が取り揃えられています。
スパークリングワイン、ラム酒、赤ワイン、白ワイン、ビール。どれも初めて見る物ばかりで、全部飲んでみたくなります。

画像出典:湘南人

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左上:ビール各種。左からBIRA91 IPA、ブロンドサマー ラガー、ホワイトエールwithシトラス
右上:インドのラム酒、オールドモンク。写真はロックwithレモンです。
左下:赤ワイン。グローバーザンバ(ラ レゼルブ)
右下:白ワイン。左からグローバーザンバ(ソービニヨンブラン)、スラ(シュナンブラン2022)

カルダモンコーヒー カルダモンがほんのり香ります。カルダモンコーヒー又はマサラティーが選べます。

画像出典:湘南人

スペシャルムクワス インドでお口直しに出てくるのがこれ。口の中にフェンネルの爽やかな味が広がる、甘いマウスフレッシュナーです。

画像出典:湘南人

南インドの海沿いの街、ポンディシェリーをイメージした店内

まず玄関を開けると、店員さんが気持ち良い笑顔で迎え入れてくれます。
木の温もりを感じる室内には、静かなピアノの音楽が流れ、入ってすぐ左のオープンキッチンからもシェフたちが歓迎の声を掛けてくれます。とても良い雰囲気で、思わず「こんにちは。よろしくお願いします」と返します。

店内は、南インドの海沿いの都市、ポンディシェリーをイメージしているとのこと。
私は、ポンディシェリーの隣、チェンナイに行ったことがあります。
インドの街というのは、薄らと灰色掛かった家並み、完備されていない道路と砂埃、車とバイクの大渋滞、けたたましいクラクションの音というイメージがありますが、それでも海辺の街は、インドも例外なく静かでゆったりとしていて、トロピカルな建物が並ぶ街全体を、潮の香りが包み込んでいました。
『Pondichéry』は、そんな私の知っているインドの海辺の街を思い出させてくれます。

店内風景 木々に囲まれた2階建ての1軒家です。
1階はオープンキッチンのカウンター5席。個室が2つあります(8名・6名)
2階は、陽の光が差し込む明るく開放的な空間。
2名掛けテーブルが8卓あり、10名~22名までの貸切も可能です。
テーブルの間隔も広く、ゆったりと過ごせます。至る所に飾られたエスニックな絵画や小物たちが、南インドの海沿いの街にいる様な気分にさせてくれます。

画像出典:湘南人

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パーティープランのご紹介

10~26名のパーティープランが用意されています。歓送迎会、同窓会、結婚式2次会などのお集まりにご使用下さいとのこと。2時間飲み放題付きです。
※詳細は、直接お店にお問い合わせ下さい。

画像出典:湘南人

最後になりますが

もう一つ触れて置きたいのは、本多さんの料理には、「スパイスを使った料理を提供することで、スパイス生産農家の方々、延いてはその家族や地域へ少しでも貢献したい」という、ボランタリーな側面が根底にあります。
料理にスパイスを使うことで、スパイス産業への貢献が少しでも出来たら良いと思っているとのこと。
確かに、スパイスの生産者は決して裕福なわけでもなく、スパイスが広がることで、そういう人達にも何らかの手助けになる。料理人としての腕だけではなく、料理を通して世界へも目を向ける取組みに、人としての大きさを感じました。
そんな本多さんの創り出す、フレンチとスパイスを融合させたノージャンルの創作料理。
ここは、鎌倉にいることも忘れるくらい静かな場所です。たまには日常を忘れ、『Pondichéry』の創り出す美味しい料理に、舌鼓を打ってみるのも良いのではないでしょうか。

店舗情報

【Pondichéryポンディシェリー】
■住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下1-2-3
■電話番号:0467-84-7610
■営業時間:LUNCH 11:30〜15:00(LO13:30)
. DINNER 17:30〜21:00(LO19:30)
■定休日 毎週火曜&第1,3,5水曜

関連リンク

Pondichéryインスタグラム
※インスタグラムで、旬のメニューも紹介されていますので、ご覧下さい。

(ご参考)
文中にスパイス名がいろいろ出てきますので、気になる方はこちらで調べてみて下さい。
スパイスの効能と効果 (全日本スパイス協会)

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