『英国王のスピーチ』脚本家が87歳で理想的な死 マネジャー「彼はそう脚本を書いていたでしょう」

『英国王のスピーチ』などで知られた脚本家デヴィッド・サイドラーさんが死去した。87歳だった。同作品でアカデミー賞を受賞したサイドラーが、17日(日)、ニュージーランドでフライフィッシング中に息を引き取ったことを長年のマネージャーが明かした。

ジェフ・アガシ氏はデッドラインに「デヴィッドは、彼が世界で最も愛した場所ニュージーランドで、彼に最大の心の平和をもたらしたフライフィッシングをしていました」「もしそのチャンスを与えられたなら、彼はまさしくそう脚本を書いていたことでしょう」と理想的な形だったと話している。

故エリザベス女王の父ジョージ6世をコリン・ファースが演じ、国王が吃音障害を克服してゆく姿を描いた『英国王のスピーチ』、2011年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を受賞、またサイドラーさんが同じく脚本を担った舞台版も制作された。

サイドラーさんは自らも3歳の時から吃音障害があった経験を基に脚本を執筆、アカデミー賞受賞スピーチでは、同賞を「世界中の全ての吃音障害者」に捧げたほか、エリザベス女王に「Fワード(罵りの言葉)を口にしたことでロンドン塔に収監しなかった」ことへの感謝の言葉を語っていた。同作で、英国アカデミー賞2賞、さらに人間の尊厳、意義、および自由を促進する作品に与えられるヒューマニタス賞にも輝いている。

脚本の執筆にあたり、エリザベス王太后(クイーン・マザー)に承諾を求めた手紙を書いたものの、兄エドワード8世が王位を放棄したことを受け父ジョージ6世が国王に即位するといったことを追体験したくないと返事が返ってきたそうで、「そうするにはまだ辛いものだったのです。ですから、彼女が亡くなった後に映画を作るよう求めた手紙を書いたのです」とサイドラーさんはデイリー・メールに当時を振り返っていた。サイドラーさんは王太后が崩御した2002から3年をおいて、同作に取り掛かっていた。

1937年にロンドンで生まれたサイドラーさんは、第二次世界大戦中に爆撃で自宅を失ったことから、家族は疎開した後、アメリカへ移住した。サイドラーさんは、大西洋でドイツ軍の潜水艦に沈没させられる危険を犯しながらの航海中に吃音を発症したという。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

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