岩手自殺防止センター30日終了 理事長個人で「傾聴」は継続

心の復興に向け、傾聴に取り組んだ日々を振り返る藤原敏博さん。個人では今後も支援活動を継続する=陸前高田市小友町

 盛岡市のNPO法人岩手自殺防止センター(藤原敏博理事長)は、30日で電話による傾聴活動を終了する。任意団体として2008年に設立し、東日本大震災後は沿岸被災者の心の復興にも尽力したが、高齢化などで会員数が減少した。法人を終えても、理事長の藤原さん(71)は古里の陸前高田市小友町を拠点に新たな活動に取り組む。互いを支え合うことができる社会の実現に向けて「傾聴の重要性」を訴え、歩み続ける。

 当時会社員で盛岡市に単身赴任中だった藤原さんを中心に有志で前身の団体を立ち上げた。当初はスタッフ12人が市内の事務所で深夜に週2回、悩みを抱えている人々からの電話を受けた。

 活動を始めて間もない頃、東日本大震災が発生。藤原さんは被災地の声を直接拾うため、陸前高田市内の全仮設住宅を訪問。傾聴だけでなく、必要な救援物資の聞き取りと搬送にも取り組んだ。「相手の心に土足で踏み込まず、一緒にその場にとどまり、人生を聞かせていただいた」

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