さよならカーネル…道頓堀に投げ込まれ24年、奇跡の生還が話題に

「日本KFCホールディングス」(代表:判治孝之)で長年愛されてきた、カーネル立像「おかえり!カーネル」が3月、老朽化のため廃棄されることに。約15年もの間笑顔を絶やさず、広告塔としての役務を全うした。

「おかえり!カーネル」人形納めの様子

「KFC道頓堀店」(現在は閉店)のカーネル立像が、道頓堀川に姿を消した、1985年のプロ野球熱狂禍。そのカーネル立像が24年の時を経て奇跡の生還を果たし、2009年に「おかえり!カーネル」と命名され、長い年月を経ても変わらぬ笑顔で現れたことから「幸運の象徴」とも呼ばれるようになった。

道頓堀川から引き上げられた際は損傷が激しかったものの、各イベント会場や「KFC阪神甲子園店」での展示などで広く一般公開。それ以降は同社の関西オフィス受付で保管されていたが、老朽化が進みこれ以上の保持が困難になったことから、3月8日に「住吉大社」(大阪府大阪市)にて人形納めを実施したという。

当日は、同社の代表取締役社長をはじめとした役員が参列。神前に玉串をささげる玉串奉奠(たまぐしほうてん)などで「おかえり!カーネル」へ感謝と別れを告げたという。供え物には、御神酒に加え、オリジナルチキンが奉納された。

【「おかえり!カーネル」年表】

1985年10月16日 プロ野球の優勝に熱狂した2~3人のファンが道頓堀店の立像を外国人選手に見立てて胴上げを始め、さらに10人程のファンが再度胴上げ。通りはファンで埋め尽くされており、止める声も届かないままに橋まで運ばれ、そのまま道頓堀川に姿を消す。

2009年3月10日 道頓堀川から24年ぶりに発見される。

2009年3月11日 元来の所有権は道頓堀店にあったが、すでに閉店していたため、日本KFCが引き継いだ形で大阪市と協議され、返還が決定。

2009年6月25日 NPO「文化財保存支援機構」による修復作業の姿を公開。奇跡の帰還を祝「幸運の象徴」として「おかえり!カーネル」と命名。

2009年8月22日以降 大阪市内で実施されるイベント『水都大阪2009』や、「KFC阪神甲子園店」などで展示。ほかにも、「奈良大学博物館」の企画展に保存修復物の一例として貸し出し。

2017年2月27日 東京都・渋谷区の日本KFC本社6階受付に設置されていたが、神奈川県・横浜市へのオフィス移転のタイミングで、大阪府・大阪市にある日本KFC関西オフィスへ移し、以降、社屋で展示。

2024年3月8日 老朽化によりこれ以上の保管が厳しいと判断し、「住吉大社」にて人形納めを実施。

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