障害年金、360万円支払い命令 大阪地裁、遺族へ支給を

 精神障害がある女性(故人)が存命中に障害年金の更新手続きをせず未支給になっていた年金について、遺族が国に不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は19日までに国の決定を一部取り消し、4年半の未支給分約360万円を遺族に支払うよう命じた。

 国側はこの期間の障害の状態を判断できないと主張したが、横田典子裁判長は遺族の証言などから「(それまでと同じ)障害年金の2級に該当する程度だったと認められる」と認定した。

 判決によると、女性は奈良県在住で、統合失調症のため1998年から障害基礎年金2級(現在は月約6万6千円)を受給。1~2年ごとに更新が必要で、そのたびに医師の診断書を提出していたが、2007年以降は更新手続きをしなかったため、支給を差し止められた。

 女性は19年に57歳で死亡。同居していた弟が「死亡時まで障害がある状態だった」として、20年に未支給分の年金を請求した。国は認めなかったが、地裁は時効にかからない15~19年の4年7カ月分については支給を命じた。

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