じつは低音は聞き取りにくかった!? 犬の聴覚を知ろう

犬も人と同じく、「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」「嗅覚」、いわゆる五感があります。人と同じといっても異なる点がたくさん! 今回は、犬ならではの「聴覚」についてクイズを出題。医学博士で獣医師の佐々木文彦先生に解説していただきました。

【問題】犬が人よりも聞きとりにくい音は次のうちどれ?

A 高い音
B 長い音
C 低い音

人より聞きとりにくい音とは?

【正解=C】人より聴力はいいけれど、低音は聞きとりにくい

人は16〜20000㎐(ヘルツ)、犬は65〜50000㎐の周波数の音を聞くことができるといわれています。この数値から、犬は人よりもCの低音が聞きとりにくいことがわかります。ちなみに、Aの高音については、人の2.5倍、超音波といわれる高音も聞きとれるのですから驚きです。聞こえすぎて疲れそうに思いますが、犬は好きな音や気になった音だけを聞きとるという都合のいい聴覚をもっているのでご安心を。また、聞きとりにBの長い音は関係しないでしょう。

【問題】犬が音をよりとらえるために役立っていないのは次のうちどれ?

A 耳が動く
B ひげが動く
C 首が動く

首が動くのは音の聞きとりに役立っている? いない?

【正解=B】音をとらえるために耳を動かし、ときに首を動かすことも

犬は、音をより多くとらえるために、自分の意思で音のする方向へ耳介を動かせます。これは、人はすでに退化した耳を動かす耳介筋をもっているためです。よって、Aの耳が動くは役立っていることといえます。また、飼い主さんが犬に話しかけたときに首をかしげるようなしぐさをすることがありますが、それは見たとおり、何を言っているのか聞きとろうとしているからです。よって、Cの首が動くも役立っていることといえそうです。Bのひげが動くは、関係ないでしょう。

犬の聴覚にまつわるクイズ、正解できましたか? 犬ならではの聴覚の特徴を知って、犬との暮らしやお世話、コミュニケーションに役立ててくださいね。

お話を伺った先生/大阪府立大学名誉教授、医学博士、獣医師 佐々木文彦先生
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『いぬの五感クイズ』
写真/佐藤正之、殿村忠博、尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室
※犬の五感については諸説あります。この記事では、佐々木先生の見解をもとに編集室で構成し、紹介しています。

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