中国に「産科の冬」、出生率低下で病院の産科閉鎖相次ぐ=報道

[香港 19日 ロイター] - 中国で今年に入り、多くの病院が新生児分娩業務を停止している。出生率の低下を背景に専門家からは「産科の冬」到来との声が出ている。国営メディア、Daily Economic Newsが報じた。

ロイターが閲覧した通知によると、この2カ月で浙江省東部や江西省南部など各地の病院が産科の閉鎖を発表した。

中国では急速に高齢化が進む。出生率は過去最低を記録し、人口は2023年に2年連続で減少した。

中国国家衛生委員会の最新データによると、産院の数は20年の807から21年には793に減少した。

新生児の激減は、多くの病院が産科を維持できなくなることを意味すると国内メディアは報道。Daily Economic Newsは15日、「『産科の冬』は静かに訪れつつあるようだ」と伝えた。

中国では晩婚化が進み、子育ての経済的負担やキャリアを中断したくないなどの理由から子どもを持たないことを選択する女性が多い。

当局は、産休の拡大や税制上の優遇措置、住宅補助など、あの手この手で出生率を高めようとしているが、中国の有力シンクタンクは、1人当たりの国内総生産(GDP)に対する子育て費用が中国は世界でも最も高い国の一つと指摘している。

経済メディア「第一財経」は2月、特に縁起が良い辰(たつ)年になり各地の病院で出生数が増加していると報じた。しかし、人口統計学者は辰年のベビーブームは短命に終わる可能性が高いとみている。

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