和歌山県の盲ろう男性、大阪マラソン完走後初練習

先月(2月)、大阪市で開催された大阪マラソンに初挑戦し、制限時間内に42・195キロを走り切った和歌山県和歌山市に住む27歳の視覚と聴覚に障害のある男性が、大会後、初めて開かれた地元の練習会に参加しました。

大会後、初の練習に取り組む坂口さん(左)と松林さん

大阪マラソンを完走したのは、和歌山市の坂口雄紀(さかぐち・ゆうき)さん27歳で、目の不自由な(『ブラインド』)ランナーと、そのランナーに寄り添って走る『ガイド』のボランティアでつくる「紀の国ブラインドランナーズ」に2年ほど前から所属しています。

練習会では、『ブラインド』と『ガイド』がペアで走ったり歩いたり

大会では、「紀の国ブラインドランナーズ」の代表を務める松林正樹(まつばやし・まさき)さんが坂口さんのガイドを務めました。

坂口さんは、20キロ過ぎから、走りのペースが落ち、30キロ手前で足がパンパンになるなどして、走ったり歩いたりを繰り返していましたが、松林さんからの絶え間ない声掛けを受けながら、制限時間7時間の5分前、6時間55分で完走しました。

坂口さんは、去年12月にハーフマラソンを完走していましたが、フルマラソンへの挑戦は初めてでした。

坂口さんは、「いったん歩いて走り出すときなど、つらく、何度もあきらめそうになりましたが、松林さんやお母さんの応援、ブラインドランナーズの皆さんからの応援メッセージがあったので、ちゃんと走り切ることを目標に頑張りました。大きな自信にもなったし、次また走ることがあれば、後半もペースを守って走り、6時間55分より速く走りたい」と話しました。

坂口さんの伴走を務めた松林代表は、初めてのハーフマラソンから3ヶ月後にフルマラソンを完走したことについて「成長が早い」と評した上で、「歩き始めるのが想定より早く焦りましたが、無事、完走できました。大会当日は、雨が降って合羽を着るなど体温調節しながら走ったので、次は、コンディションの良いときに走り、もっと良いタイムが出せれば」と話しました。

坂口さんの母・三奈(みな)さんは、「雄紀は、粘り強くよく頑張ったと思います。28キロあたりで応援しているとき、足が痛いと言っていたので、走った後、話を聞くと、そこからずっと松林さんが話しかけてくれていたと聞きました。完走できたのは、周りの皆さんのおかげ。走ることに限らず、これからも、やりたいことに挑戦してほしい」と話しました。

坂口さんの母・三奈さん(左)はウォーキングのガイドとして練習会に参加

「紀の国ブラインドランナーズ」は、毎月第二日曜日の午前9時半頃から和歌山市福島の紀ノ川河川敷にある市民スポーツ広場で練習会を開いています。

練習前の自己紹介

大阪マラソンのレース後初めて開かれたこの日(3月17日)の練習会には、27人が参加し、冒頭の自己紹介で坂口さんから、初のフルマラソン挑戦で制限時間内に完走したという報告を受けると、「おめでとう」「すごい」と口々に坂口さんを讃えていました。

練習前の写真撮影

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