「俺たちにはアイデンティティがない」球宴後は黒星先行のクリッパーズにジョージと指揮官が警鐘「もっとハードにプレーできる」<DUNKSHOOT>

NBAのレギュラーシーズンが終盤へ差し掛かるなか、ロサンゼルス・クリッパーズがスランプに陥っている。チームは昨年12月~今年1月にかけて23勝5敗と好成績を残し、2月6日時点では34勝15敗(勝率69.4%)ウエスタン・カンファレンス1位。以降もデンバー・ナゲッツ、オクラホマシティ・サンダー、ミネソタ・ティンバーウルブズとトップシード争いを繰り広げていくものと思われた。

ところが、2月以降は11勝10敗、オールスターブレイク後は6勝8敗(勝率42.9%)と負け越し。3月17日(日本時間18日、日付は以下同)にホームでアトランタ・ホークスに93-110で落としたことで、ウエスト4位(42勝25敗/勝率62.7%)となり、首位サンダー(47勝20敗/勝率70.1%)とのゲーム差が5.0まで広がってしまった。

今季のクリッパーズ最大の強みは、カワイ・レナード、ポール・ジョージ、ラッセル・ウエストブルックにジェームズ・ハーデンを加えたビッグ4で、チームはウエストブルックがシックスマン転向後に成績が上昇した。

ジョージはチーム状況について米メディア『NBC Sports』へこう口にしていた。
「俺たち4人は、自分たちのキャリアにおいて同じ立ち位置にいる。俺たちは大金を稼ぎ、称賛を受けてきたし、アウォードも手にしてきた。今の俺たちはひとつのこと、同じことにフォーカスしている。俺たちは、ただ勝ちたいだけなんだ」

現在のクリッパーズはウエストブルックが左手の手術を受けて離脱中だが、彼の穴をボーンズ・ハイランドが埋めており、レナード、ジョージ、ハーデンの3人は健在。

ただ、シーズン全体でリーグ5位の118.7を残すオフェンシブ・レーティングは球宴後に10位(114.9)、同14位の114.8を記録しているディフェンシブ・レーティングも同26位の117.0と、攻守のスタッツが下降している。

チームが好転するために必要なことについて聞かれたジョージは、次のように話していた。

「俺たちは一貫性を持ち、アイデンティティを確立したチームになりたい。いつも言ってきたことだけど、アイデンティティを持つことは、ものすごく重要なことなんだ。そのアイデンティティを確立していれば、相手がどう立ち向かってくるか見えてくるからね。(でも)現時点で、俺たちにアイデンティティがあるとは思えない」
今季のクリッパーズはハーデンが10アシスト以上の試合で18勝3敗、第3クォーター終了時点でリードしていれば33勝3敗、相手よりも高いフィールドゴール成功率を残すと40勝3敗、相手を100得点未満に抑えれば9戦負けなしといった勝利に直結するデータがある。

しかし、ここまでウエスト首位争いを演じてきたチームが若手揃いのホークス戦に敗れたことで、タロン・ルーHC(ヘッドコーチ)も危機感を露わにしている。

「我々は48分間もっとハードにプレーできる。ベテラン揃いのチームだからね。だが相手は若いチーム。彼らは速くてジャンプボールから真っ向勝負してくる。だから我々はそれにマッチしなければいけない。私はこのチームには毎晩コンスタントにやるべきことがあると言った。もしそれができないならば、どんな相手にも打ち負かされてしまうんだとね」
球宴後の失速により、5位のニューオリンズ・ペリカンズ(41勝26敗/勝率61.2%)が1.0ゲーム、6位のサクラメント・キングス(39勝28敗/勝率58.2%)が3.0ゲームで迫っている。

クリッパーズは、20、22日にアウェーでウエスト14位のポートランド・トレイルブレイザーズ(19勝49敗/勝率27.9%)と連戦が組まれている。レギュラーシーズンは残り15試合、1か月後の4月20日にはプレーオフが幕を開けるだけに、下位相手に確実に勝ち切り、悪い流れを断ち切りたいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社