同郷レヘチュカとタッグを組む元世界4位ベルディフ氏が今後の展望を明かす「自分の経験を若い世代に伝えられると思う」<SMASH>

男子テニス元世界ランク4位のトマシュ・ベルディフ氏(チェコ/38歳)が、自身がアンバサダーを務めるアメリカの高級スポーツアパレルブランド『Uomo Sport』のインタビューに登場。その中で昨年7月に同郷の期待の新星、イリ・レへチュカ(世界27位/22歳)のチームにメンター(アドバイザー)として加わったことについて言及し、そのやりがいを語った。

2010年のウインブルドン(イギリス・ロンドン/芝コート/四大大会)で準優勝し、ツアー通算13度の優勝を誇るベルディフ氏は、19年シーズンを最後に現役引退。最近は昨年1月の全豪で自身初の四大大会ベスト8入りを果たしたレヘチュカに時折帯同し、大会前の練習でもヒッティングパートナーを務めるところが目撃されていたため、「2人はすでにコーチ契約を結んでいるのではないか」との噂が広まっていた。

それについてベルディフ氏は昨年3月の段階で「まだ彼のコーチに就くという約束はしていない」と話していたが、スペインメディア『Punto de Break』によると、2人は同年7月のウインブルドンの期間中に正式に契約を結んだという。今回のインタビューで同氏は、現役時代の自身と同じく力強いテニスを武器に持つレヘチュカとのタッグ結成について、次のように前向きな展望を明かしている。

「自分の経験を若い世代に伝えられると思う。私は新しい挑戦が好きだ。私とレヘチュカはプレースタイルが似ているし、彼の人柄が気に入っている」
先週のマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)に第32シードとして出場したレヘチュカは、ベルディフ氏が戦況を見守っていた中、アンドレイ・ルブレフ(ロシア/現6位)、ステファノス・チチパス(ギリシャ/現11位)ら格上選手を破る快進撃を見せてベスト8へ進出。だが準々決勝では全豪オープン覇者のヤニック・シナー(イタリア/現3位)に敗れ、マスターズ初のベスト4進出とはならなかった。

それでもレヘチュカは、母国の偉大な先輩とのタッグが早くも自身に良い効果をもたらしてくれていると感じている。チチパス戦後の記者会見では大会期間中にベルディヒ氏から受けたアドバイスを明かすとともに、以下のように手応えを口にしていた。

「トマシュはポイント中にもっと足を使って、前後にもっと動くようにと忠告してくれた。この数日間、主に大会の序盤で対戦相手のこととか、夜と日中晴れたときのコンディションの違いがどうなのかとかも含めて色々なことを話し合った」

「昨年大会よりも明らかに僕はコンディションに適応することができている。それが、僕が今年トマシュと一緒にここに来た理由の一つだ。彼は自分が選手だった時にチームにしてほしかったことを全てやってくれている。選手が何を望んでいるかとか、どう感じているかとか、彼はわかっているからね。

トマシュは多くの点で、選手だった頃と変わらない。彼はとてもプロフェッショナルな人で、成功のためにとても献身的に取り組んでくれている。良い決断だったし、僕はまたある種の自信を得ることができたと思う」

さらなる飛躍を目指す中で良き理解者を得たレヘチュカ。これから2人がどのようなケミストリーを生み出すのか注目したい。

文●中村光佑

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