モンスター収集ローグライト「Dicefolk」のプレイレポートをお届け!行動順指定とローテーションを駆使した戦闘は病みつきに

Good Shepherd EntertainmentよりリリースされているPC(Steam)用ソフト「Dicefolk」のプレイレポートをお届けする。

「Dicefolk」は、魔法のダイスを使って戦うモンスター収集×ローグライトアドベンチャーゲーム。プレイヤーは、キメラと呼ばれるモンスターと絆を結ぶ力を持つ若き英雄・アリアとなり、人類を絶滅の危機に追い込む魔術師・セーラムへと立ち向かう。

基本となる目標は、3つのバイオーム(ステージ)をクリアし、“セーラムの扉”を目指すことだ。

ゲームを開始すると、まず“タリスマン”を1つ選択。タリスマンは、種類によって仲間にできるキメラが異なり、攻撃能力重視となる戦士のタリスマン、素早さ重視となる荒天のタリスマンなどが用意されている。

そして、4種のタリスマンで扉に到達すると……?

各バイオームには、キメラを仲間にできる祠や戦闘が発生する場所のほか、便利なアイテムを購入できるショップ、戦闘で使うダイスのカスタマイズなどが可能なダイス職人、休憩等に使うかがり火など、さまざまなイベントが用意されている。イベントは最初から見えているものもあれば、隠されていることも。隣接する場所に到達すると見えるようになる。

バイオームをクリアするには、ボス戦に勝利する必要があるが、そのほかに条件は無い。全イベントを網羅する必要は無いものの、強力なボスを倒すために、出来るだけ準備しておくのが良いだろう。

イベントには結構な種類があるので、ここでは特に重要な“キメラの祠”をピックアップして紹介しよう。

キメラを仲間にできる祠は、各バイオームに3種存在し、訪れるまでどのキメラと出会えるか分からない上、仲間にできるのは1体だけ。ショップなどの施設は繰り返し出入りすることができるが、祠は一度立ち去ると戻れない仕組みとなっている。

したがって、各地にある祠を巡り、最後の祠で3種の中から一番良いキメラを選出するのが理想的ではある……が、未踏の祠を残した状態でキメラを仲間にした場合、残りの祠は、ゴールド(お金)の獲得と回復が可能な場所に変化するのだ。

即決で現パーティの戦力を増強しつつ立て直しを図るか、もっと良いキメラが出ることを信じて祠を巡るかは、後の戦況を左右し得る大きな選択となるだろう。

回復手段は限られているため、敵が強くなるほど重要になってくる。

戦闘では、円形状に配置された最大3vs3のキメラが対峙する。先頭で向かい合っているのが、それぞれのチームのリーダー。いくつか例外はあるが、基本的に攻撃などのアクションを行ったり、ダメージを受けるのはリーダーとなる。

プレイヤーは、アクションが描かれた味方と敵のダイスを振り、指定したアクションを、条件に合ったキメラに指示できる。攻撃のほか、キメラの位置をローテーションする“転回”や、お互いダメージを受ける“激突”など、さまざまなアクションが用意されている。

戦略の肝となるのは、転回とキメラの行動順。中でも、“敵を含む”全ての行動順を指定できるのが大きな特徴となっている。これにより、例えばSTR(攻撃力)の高い味方を先に攻撃させた後、HPの高い味方に転回し、敵の攻撃を受ける、といったことが可能なのだ。

キメラには、被攻撃時にSTRアップ、敵が転回した時にダメージを与えるなど、さまざまな“アビリティ”を持ったものも存在。特殊な効果を持つ装備やトークンとあわせて使いこなせば、戦闘を有利に進められる。

なお、ターンを終了させるには、敵のダイスを全て使う必要がある。敵のダイスを残したまま、考えなしに味方のダイスを使い切ってしまうと、倒されざるを得ない状況になることもあるので注意しよう。こうしてターン毎に新しいダイスを振っていき、敵のキメラを倒すのが主な流れだ。

一般的なターン制バトルと異なるのは、初見の敵に何も分からないままやられるようなシチュエーションが存在しないこと。ターン毎に、場にいるキメラ全てのアビリティやアクションを確認してから、最適な行動順を決めていくため、勝利にも敗北にも納得感がある。

もちろん、ダイスや一部アビリティの発動確率といった運は絡んでくるが、戦略がものを言うのは間違い無いだろう。準備をしっかりした上で、頭とキメラをフル回転させるバトルは病みつきになる。

個人的に気に入ったアクションは、直前のアクションを繰り返す“ミラー”だ。繰り返す対象には敵のダイスも含まれるので、味方の攻撃を連続で繰り出すだけでなく、敵に与えられた状態異常を返すことも可能。そのほかにも、転回をあえて繰り返して、転回時に発動するアビリティを連発させるなど、とにかく使い道が多く、ピンチの場面で何度も助けられた。

また、アビリティや装備の存在感も魅力の一つ。強力な効果も多く、キメラのHPが1でも残っていれば、これらを発揮できる可能性がある。行動順を自分で決めるシステムとあわせて、残りHPが少ないキメラでも十分活躍でき、ギリギリの戦いを制する感覚を味わえる。

また、これらのシステムをしっかりと支えていたUI周りの分かりやすさにも触れておきたい。明瞭かつ長引かないチュートリアルに加え、ダイスなどほとんどの要素は、(マウス操作の場合)マウスオーバーで説明が表示されるため、迷うことはほとんど無かった。

1プレイ1時間程度という手軽さも相まって、「Slay the Spire」などで知られるローグライク×デッキ構築系のゲームに初めて触れる人にもおススメできるタイトルだ。

経験者に関しても、キメラの収集要素や転回をはじめとする本作独自の要素によって、十分楽しめることだろう。1プレイにかかった時間が計測されているほか、ゴールまでたどり着いたキメラにはダイスのマークが付くので、タイムアタックやコンプリートに挑戦するのも面白そうだ。

また、詳細は伏せておくが、特殊な条件で攻略する挑戦モードといったやりこみ要素も用意されている。

本作の特性上、複数回のプレイにわたってキメラを育て続けることは出来ないが、図鑑などのモンスター収集ゲームらしい要素も収録されている。キメラの図鑑では身長や体重に加え、鳴き声やフレーバーテキストも堪能できるので、冒険の息抜きに丁度良かった。

ストーリーに関しては、ゲームプレイ上で説明されるものはあっさりしているが、収集アイテムである“聖なるテキスト”で世界観をより深く知ることができるのも嬉しいポイントだ。

戦略性抜群な戦闘を中心に、気軽に遊べる本作を、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。

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