<レスリング>【U15アジア選手権代表選考会・特集】永田裕志(新日本プロレス)の長男・裕生(MTX)が初の全国制覇! 「勝つことにこだわった」

U15アジア選手権(7月、サウジアラビア・リヤド)の男子の日本代表を決める選考会の75kg級で、プロレスラーの永田裕志(日体大レスリング部OB=1992年全日本選手権優勝)の長男、永田裕生(MTX)が優勝。初の全国大会制覇を達成するとともに、初の国際大会出場を決めた。

▲父・永田裕志とともに

裕生は「勝つことに、こだわりました」と第一声。小学生時代の全国大会は2位が最高で、昨年のU13ジャパン・オープン・トーナメントも2位。全国優勝を目前にしながら歯がゆい結果に終わっていた。今回は国際大会がかかっていたので、「この大会にかけていました」と、いつも以上に気合いを入れての闘い。

「コーチに言われた『勝つことにこだわれ』ができました。内容よりも、勝つことしか考えていなかったです」と、勝利への執念を何度も強調した。

相手のスタイルに合わせて闘い方を変える実力

3試合闘っての優勝だが、闘い方は見事に3パターンに分かれており、顔の部分を隠しての試合動画を見たら、「3人の選手では?」と思えるような内容だった。1回戦は何度も闘っていて手の内を知られている相手だったので、やや慎重になり、無理な攻撃をしない中での辛勝。

▲1回戦は慎重に闘い、1-1のスコアながら競り勝った

準決勝の相手は初顔合わせだったが、1回戦の試合を見て十分に研究し、積極的なタックルの連続で快勝。決勝の相手はこれまでに2度闘っていて、ともに快勝しているが、研究されていることを感じたので無謀な攻撃を封印。相手の仕掛けを待ってのカウンターでポイントを重ねた。

「相手のスタイルによって闘い方を変えました」と振り返り、考えて闘った末の優勝だった。14歳でここまで考え、それを実践できる選手は、そうそういないだろう。パワーや体力はプロレスラーの父の遺伝または英才教育の成果と思われるが、頭脳も父親譲りか? それとも母親・ちえこさん(リラクゼーションサロン代表取締役)の遺伝か?

初の国際大会は「(大会の)格が違うと思います。海外で外国選手と闘うのは初めて。今日以上に気合いを入れて闘いたい」と言う。「期待と不安の割合は?」との問いに、しばらく考えて、「より気合いが入ります」と答え、国際舞台での飛躍を誓った。

「将来はオリンピック?」の声に即答がなかったのは、父親がオリンピック目前まで行って達成できなかったほど厳しいことを知っているからだろう。「最低でも世界へ行ける選手になりたい」と目を輝かせた。

▲準決勝は積極的なタックル攻撃で6-0の快勝

▲決勝は返し技がさえて9-0で勝利

高校生、大学生とも積極的な練習

父・永田は「この大会を目標に頑張ってきたので、優勝できてよかった」と、わが子の初の全国優勝ににっこり。大会の度に言っていた「2分2ピリオド、攻め続けろ」という攻撃精神を今回も徹底させたそうだ。

「今は、中学生であっても高校生、大学生と練習して強くなる時代」として、時間のあるときは都内や周辺の高校や大学の練習に連れて行き、二人三脚でここまできた。裕生が小学生の頃は、酒に酔っている状態のときに軽い気持ちで組み合いをしても簡単に勝てたそうだが、今は本気出さないと「やられてしまうくらい体力がついています」と成長を実感している。

自身が55歳ながら現役を続けるのは、息子に闘う姿を見せることで頑張りを期待する気持ちという理由もあるという。「もっと高いところを目指して頑張ってほしい」と今後も全面支援の構えだ。

(注)父親には通常、敬称をつけておりますが、現役プロレスラーであるので敬称は略します

▲わが子の試合を熱心に動画撮影する父・永田。その隣は、かつての新日本プロレスの同僚・藤田和之(日大OB)

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