笠岡2施設で入館者増へ新企画 竹喬美術館とカブトガニ博物館

竹喬美術館の「まるごと美術館探検」=2023年7月

 笠岡市を代表する文化・教育施設の市立竹喬美術館(同市六番町)と市立カブトガニ博物館(同市横島)が、館のPRや入館者の増加につなげようと新たな企画を展開している。各年度に数回行う特別展や特別陳列に加え、子ども向けのワークショップ(WS)や工夫を凝らしたイベント開催に力を入れる。

 竹喬美術館は子どもから若者世代へのPRに努めている。来館者は60~80代が大半を占めており、幅広い世代に訪れてほしいと約3年前から親子などを対象にした取り組みを進める。

 人気を集めるのは、普段立ち入れない施設の裏側を見学できる「まるごと美術館探検」。展示室の設備の仕組みを聞いたり、学芸員の仕事の一部を体験したり。館外でのWSもあり、夏休みには市内の放課後児童クラブで、竹喬作品に自由に色を塗ったオリジナルのうちわ作りを行った。

 柴田就平学芸員は「子どもたちは興味津々の様子だった。一緒に参加した保護者へのPRにもつながる」と話す。特別展開催時に実施したアンケートでは、入館者に占める10~40代の割合は2020年度の8.5%から、22年度と23年度は約14%に増えた。

 昨年11月には、市民にさらに美術に親しんでもらおうと、閉校した旧今井小(同市今立)に自由に創作に取り組めるアトリエを設置。高橋文子館長は「竹喬の研究や顕彰は引き続き大切にしながら、敷居が高いというイメージを少しでも払拭し、美術館や竹喬さんに興味を持ってもらいたい」と話す。

 カブトガニ博物館は22年度、恐竜が栄えた「ジュラ紀」とグランピングをかけた“ジュランピング”を親子向けに開催。隣接の恐竜公園にテントを張って一晩を過ごす初の企画で、シャワーもエアコンもない過酷さを逆手にとってアピールし、夜の館内を見学する「ナイトミュージアム」や星の観察も盛り込んだ。好評だったのを受け、昨年8月にも行った。

 学芸員の仕事体験イベントも小中学生と高校生向けに開いている。化石の採集やクリーニング、透明骨格標本作りに挑戦した参加者からは「本格的な体験」「貴重な機会になった」などの感想が寄せられたという。

 森信敏館長は「カブトガニと共生できるまちを後世につないでいくために、多くの人に存在を知ってもらえるよう今後も工夫したい」と話す。

 市教委生涯学習課は「両施設は笠岡の財産。特徴を生かし、多角的な視点で親しみを持てる施設づくりに引き続き取り組んでいく」としている。

カブトガニ博物館が企画した“ジュランピング”=2023年8月

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