仮設、月内に5000戸着工 申請数の6割相当

  ●馳知事「8月末までに全員入居」 

 県が能登半島地震の被災者向けに建設している仮設住宅の着工数が、3月末までに5千戸に達する見通しとなった。馳浩知事は19日の県災害対策本部員会議で「20日までに4730戸が着工される見込みだ」と述べ、月内の目標としていた4600戸を上回るペースで工事が進んでいると報告した。その上で知事は「8月末までに希望者が入居できるようにする」と語り、被災8市町が要望している計7800戸の充足を急ぐ考えを強調した。

 5千戸は、被災者からの申請数の64%に相当する。

 県によると、20日までに着工する4730戸の市町別の内訳は、珠洲市925戸、輪島市2177戸、能登町441戸、穴水町450戸、志賀町194戸、七尾市411戸、羽咋市67戸、内灘町65戸となる。奥能登を中心に、月内に追加着工を見込んでおり、完成は1600戸を予定している。

 県は当初、年度内の目標着工数を3千戸としており、市町の要請を受けて4千戸に増やした。その後、好天に恵まれたこともあって建設ペースが上がり、2月末時点では4600戸を目標としていた。

 馳知事は水道などインフラの復旧に伴い、住宅が一部損壊の住民はいったん仮設住宅を希望していても自宅に戻ることを選ぶケースが想定されると指摘。市町と協力し、月内に改めて仮設住宅の必要数を精査する考えを示した。会議後、記者団の取材に答えた。

  ●国の支援23日終了 物資拠点、金沢の倉庫に

 馳知事は国によるプッシュ型の支援が23日で終了すると報告した。今後は県と市町で物資調達を行う。これに伴い、物資の備蓄拠点を25日に金沢市の県産業展示館から日本通運の所有する金沢市内の倉庫に移す。

 プッシュ型支援は災害対策基本法に基づき実施された。これまでに食料や飲料、衣類、生活衛生品、寝具など約1300万点以上が避難所などに送られた。

  ●なりわい補助金27件

 国と県が中小企業の設備復旧に最大15億円を助成する「なりわい再建支援補助金」は19日までに、27件の応募があり、審査が始まった。今後も公募を行う予定で、馳知事は「申請書を書くのは1枚でも大変。事務作業をサポートする」と話した。

 農林水産省は農林水産漁業者向けの共済金の支払いが始まったと報告した。

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