日本一の相撲部、新主将に 朝乃山恩師の長男奮闘 名門近大、親子二代で

ぶつかり稽古に励む浦山さん(右)=大阪府の近大相撲道場

  ●「重圧大きいけど、やるしかない」

 大相撲・朝乃山の富山商高時代の恩師、故浦山英樹さんの長男の浦山秀誠(しゅうせい)さん(21)が名門・近大相撲部の新主将となった。メンバーとして昨年の全国学生相撲選手権(インカレ)の団体戦を制し、目標の一つを達成した。「日本一」の相撲部を任された浦山さんは「プレッシャーは大きいけど、やるしかない」とチームを引っ張る覚悟を決め、大学ラストイヤーで全てを出し切る。

 「もっと低く」「下がるな」。11日、大阪府東大阪市内の近大相撲道場で、浦山さんが後輩たちにげきを飛ばす。稽古を見守りながら、自らもぶつかり稽古などで精力的に汗を流した。「口でどれだけ言っても駄目。自分の姿勢を見てもらうしかない」と話す。  

  ●朝乃山から刺激

 近大は昨年11月のインカレ団体で、13年ぶりに頂点に立った。浦山さんは3年生で唯一のメンバー入り。2連覇を狙う日大との決勝では大将を務めた。「先に先輩が優勝を決めてくれ、めちゃくちゃうれしかった」。喜びもつかの間、気持ちを切り替え土俵に上がり、勝利で締めくくった。

 インカレが終わり、新大将に浦山さんが選ばれた。近大相撲部の主将は、父の英樹さんもかつて務め、親子二代となる。「たまたまですけど、嬉しいっす。父さんよりもプレッシャーは大きいかも」と照れくさそうに笑う。

 「日本一」のバトンを託され、最初の目標として、新体制で初の大会となる4月の全日本大学選抜相撲宇和島大会での連覇を掲げる。「昨年は自分が勝って優勝を決めた。もう一回優勝したい。最終的にインカレで2連覇できるようなチームにしていきたい」と力を込める。

  ●プロも選択肢に

 大学生活も最後の一年となる。春には母校の富山商高で教育実習も行う予定で「選手としては最後の一年になるかもしれない。悔いを残さないようやりきりたい」と大阪での4年間を締めくくる思いだ。

 一方で、周囲からは先輩である朝乃山のように角界入りを期待する声もあり、スカウトの声もかかっている。プロ入りは「絶対にない訳ではない」とし、角界入りや実業団で相撲を続けることも選択肢に入れる。「この一年でしっかり考えたい」と思案する。

  ●「石橋」の名札

 相撲道場にはOBの名札がずらりと掲げられ、父の英樹さんや、石橋広暉(朝乃山)らの名前もあり、稽古を見守っている。車で30分ほどのエディオンアリーナ大阪では連日、朝乃山が奮闘しており「活躍は刺激になる。三役復帰を決めて一気に上に上がってほしい」と期待を込めた。

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