冷めてもうまい米生産増 JAとなみ野が新年度、作付6割拡大 コンビニ廃棄減に対応

JAとなみ野が新年度に生産拡大を目指す「つくばSD2号」=砺波市五郎丸のJAとなみ野ライス・ターミナル

  ●物流2024年問題で需要

 JAとなみ野は新年度、冷めてもおいしい特性がある米の品種「つくばSD2号」の生産拡大に乗り出す。トラックドライバーの不足に伴う「物流の2024年問題」に対応し、弁当やおにぎりの廃棄量の削減を図るコンビニなどの需要拡大が見込めるため。同JAは組合員に奨励措置も検討して栽培面積を増やし、安定供給につなげていきたい考えだ。

 つくばSD2号は、短稈(たんかん)コシヒカリとミルキークイーンを人工交配した低アミロース米で、冷めても硬くならずに良食味を保つのが特徴。短稈で倒伏しづらく、安定的な上位等級比率で高い収量も確保している。

 関係者によると、全国のコンビニなどでは弁当やおにぎりの廃棄量を減らすため、常温から5度程度に冷蔵するチルドに変わってきており、消費期限も1日から3日程度に伸びている。つくばSD2号はチルドでも硬くなりにくく、パサつかない特性があるとして需要が増えているという。

 24年4月からトラックドライバーの働き方改革に伴って輸送能力が不足する「物流の2024年問題」を控え、流通業界では商品のリードタイムを長く持たせる動きがさらに広がると予想される。

 JAとなみ野は、チルドにも良食味を維持できるつくばSD2号の需要拡大が見込めるとして、今年度の作付面積310ヘクタールから新年度は6割程度増やして500ヘクタールを目標に掲げ、生産拡大を図る。

 つくばSD2号は、2022年産で管内の1等級比率が97.3%と高く、記録的な猛暑でコシヒカリの高温障害が問題となった23年産でも9割を超えるなど安定した上位等級比率を維持している。

 JAとなみ野の担当者はつくばSD2号について「流通の2024年問題は米にも大きく影響している。フードロスの環境対策や流通対策を考えると、切っても切れない品種になっている」と話し、組合員に奨励して生産拡大を目指す。

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