水素供給施設、茨城・水戸に26日開業 燃料電池車の普及後押し 民間設置の固定式、県内初

燃料電池車の利用者向けにオープンする「水素・EVステーション水戸」=水戸市米沢町

茨城トヨタ自動車など茨城県内のトヨタ販売店が組織する一般社団法人「茨城ワクドキクラブ」は、茨城県水戸市米沢町で、燃料電池車(FCV)に水素を供給する水素ステーションを26日に開業する。県内ではつくば市、境町に続く3カ所目で、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しないFCVの普及を後押しする。

名称は「水素・EVステーション水戸」。同クラブを構成する販売店7社とトヨタモビリティパーツ茨城支社が、国のs補助を受け約2億5000万円かけて整備した。民間が設置する固定式水素ステーションとしては県内初。電気自動車(EV)のセルフ充電(午前9時~午後6時)設備もある。

経済産業省資源エネルギー庁の調べでは、水素ステーションは全国に174カ所(2月末時点、整備中含む)設置されている。県内では、2016年につくば市で、供給設備を積んだトラックによる移動式がスタート。17年には境町が役場のFCVに充塡(じゅうてん)する固定式を設置した。

水素を充塡する場所が少ないことなどから、FCV所有者は不便を強いられてきた。同クラブ事務局によると、県内のFCV台数は約80台(昨年12月末時点)という。

同ステーションの営業は火-土曜日。10分以内で水素を充塡でき、トヨタのFCV「MIRAI(ミライ)」の場合、満タンの状態から750キロ以上走行できる。予約制で、1日当たり3台程度の利用を想定する。オープン前日の25日には開所式を開く。

FCVは、燃料となる水素を酸素と化学反応させて生じる電気でモーターを動かし、走る。走行時にCO2を排出しないため、地球温暖化防止の効果が期待される。資源エネルギー庁によると、23年1~12月の国内FCV登録台数は計422台。

県内のトヨタ販売店は、水戸の水素ステーション開設を足掛かりに、FCV販売台数を増やしたい狙いがある。茨城トヨタ自動車の幡谷浩史会長(90)は「水素の充塡場所が近くにないことでFCVの普及が遅れた。今後は自信を持って売ることができる」と広がりに期待する。

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