小学校の卒業式 「袴」人気の一方で…ほとんどの児童が「中学校の制服」の慣習…理由は?

卒業シーズンを迎え、各地の小学校で卒業式が開かれています。
近年では、「袴」で式に参加する児童も増えていますが、中には、「進学する中学校の制服」を着る学校もあります。50年以上続いている慣習ということですが、一体、なぜなのでしょうか。

19日、鳥取県境港市の境小学校。

卒業生53人が続々と入場し、5年ぶりに、通常開催の卒業式が行われました。

卒業生1人1人が卒業証書を受け取った後…

卒業生
「テストで良い点を取った時に褒めてくれたお父さん、お母さん、ありがとうございました。中学校に行っても勉強頑張ります」

日頃の感謝の思いなどを述べました。

ところで…

土江諒 記者
「きょうは小学校の卒業式なんですが、卒業生の皆さんが着ているのは中学校の制服でしょうか。袴を着た児童の姿はありません」

去年、米子市内で行われた卒業式では、袴を着て式に参加する児童の姿が多く見られました。

しかし、19日に取材した境港市立境小学校では、卒業生全員が、進学先の中学校で着るちょっと大きめのブレザーに袖を通していました。

ただ、米子市にある呉服店によりますと、袴が人気なのは変わらないようで…

永見 永見啓太郎 専務取締役
「米子市中心なんですけど、あとは安来市、西伯郡から借りに来られるエリアです。年々枚数的には増えている」

以前は米子市でも、小学校の卒業式に中学校の制服で参加する児童も多かったということですが、ここ10年で袴ブームが到来。

山陰では、松江市や出雲市など、多くの市町村で、卒業式に袴で参加する児童が増えているといいます。

そんな中…

永見 永見啓太郎 専務取締役
「この3年くらいの売上資料調べたんですけど、3年間は境港はゼロですね」

境港市は米子市の隣町ですが、ここ数年で、卒業式で袴を借りる境港市からの来店客はゼロでした。

境港市の小学校では、何か制約があるのでしょうか。

境港市立境小学校 湯尾毅 校長
「制約はかけてないので、本当は自由で良いんですけど、慣例というか伝統というか、こうなってますね」

この学校では、卒業式の衣装の制限はなく、湯尾校長が小学生だった50年以上前から、同じ状況だったといいます。

境港市立境小学校 湯尾毅 校長
「卒業式のために服を揃えるであるとか、先人の人がそうされたのではないかなと予想しているんですが、はっきりとしたことはわからないです」

明確な理由は不明ですが、華美でないことや、経済面など保護者の負担を考慮して、この慣習ができたのではないかとのこと。

実際、卒業生や保護者はどう感じているのでしょうか。

卒業生
「自分は着たかったです」

卒業生
「私はこのままでいいかな」

(Q制服で参加するって決まってないそうなんですけど)

卒業生
「え!そうなの!知らなかったです」

保護者
「境港市立第一中学校の制服が2年前から変わって、すごく可愛いって言っていたので、ずっと楽しみにしてて、着るのを。普段私服の小学生たちが、制服でピシッときまってる姿見て、大人になったなとすごい実感しましたし、袴でもなんでもいいです!」

呉服店によりますと、境港市の卒業生は、式では中学校の制服を着ますが、式が終わったあとに、写真館などで袴を着て写真撮影などをする家庭もあるということです。

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