宇宙で発電し地球へ送電…日本が世界をリードする“宇宙太陽光発電システム”に迫る

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、日本が世界をリードしている“宇宙太陽光発電システム”について取り上げました。

◆宇宙空間で集めた太陽光エネルギーを地球へ!

"宇宙太陽光発電システム(SSPS)”とは、宇宙空間で太陽光エネルギーを集め、それをマイクロ波などに変換して地球に伝送。地上や海に設置した受電装置でそれを受け取るというもので、いわば宇宙で発電した電気を地上に届けるシステムです。別名「宇宙に浮かぶ発電所」と言われ、この技術は日本が世界をリードしています。

そのメリットは、昼夜、天候、さらには地震などの自然災害に左右されることなく電力の送電ができること。さらには電力を必要とする地域にピンポイントに届けることができ、なおかつ地上での火力発電などに比べ、二酸化炭素の排出量を抑えられることなどがあります。

その歴史を遡ってみると、1983年に京都大学や宇宙研などの合同チームが世界で初めて宇宙でのロケットによるマイクロ波送電に成功したことに始まり、以後、日本の研究が世界のシーンを牽引。これまで地上での実証実験を行ってきましたが、2025年頃から宇宙での実証実験が始まる予定で、2050年頃の実用化を目指しているということです。

◆日本が技術牽引する"宇宙太陽光発電システム”に期待

経済ジャーナリストの荻原博子さんは、この宇宙太陽光発電システムに「すごく夢がある」、「このチャンスを逃していけない」と大きな期待を寄せます。

一方、脳科学者の茂木健一郎さんは「この手の技術はスケーラビリティーが鍵。ロケットの打ち上げや宇宙ゴミの問題なども出てくるので、エコシステムとして全体的に育てていかなければいけない」と指摘。

例えば、大きな電力を生むためには多くのロケットを打ち上げなければならないとなると、既存電力とどちらがエコなのかという問題が持ち上がります。NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、そうした問題点に触れた上で「全体を俯瞰してみないといけない」と慎重な対応を望みます。

茂木さん曰く、こうした宇宙に関する技術開発はさまざまな技術へとつながっていく、新たな技術や製品が生み出されることがあるため、そうした部分での貢献度は「とても大きい」と言います。事実、キャスターの堀潤は、宇宙服の開発が消臭衣類の誕生に繋がったとその一端を補足します。

◆日本の最先端技術を世界が猛追

宇宙太陽光発電システムを推進しているのは日本だけではありません。近年、世界各国が独自でその技術を開発しています。

例えば、アメリカでは2023年にカリフォルニア工科大学が1億ドル以上の寄付を受けプロジェクトを実施。軌道上実証機の軌道投入に成功しています。また、欧州宇宙機関(ESA)が、2022年に欧州向け準備プログラム「SOLARIS」を開始。そして、中国も2018年に宇宙太陽光発電プロジェクトをスタートさせ、2022年には大規模な地上実験施設が完成しています。

こうした状況に荻原さんは、「日本も本気でやるなら政府がしっかりと後押ししないといけない」と檄を飛ばし、「中国は日本技術をまるで自国で開発したかのように出してくる。それは政府という大きな後ろ盾があるから。日本もいつまでも原発にこだわっていないで、こうした技術を海外に売れるようにしていくことが大事」と主張します。

茂木さんは、お金の問題に言及。アメリカでは即座に1億ドル以上の寄付が集まりましたが、日本で同じことができるかといえば定かではないとあって「一般のテレビで、ニュースで報道する意味は大きく、つまり有権者の合意形成がないとお金は出せない。(国民全体が)リテラシーを上げていかないといけない」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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