マイナス金利解除 茨城県内、負担増に困惑も 「設備投資控えるしか」 

日銀・植田和男総裁の会見をテレビで見る買い物客=水戸市内の家電量販店

日銀のマイナス金利政策が19日、17年ぶりに解除された。茨城県内では予測される預貯金の利率上昇を歓迎する声が上がる一方、中小企業の経営者や個人住宅ローンの利用者からは負担増につながる「金利上昇は困る」と懸念する声が上がった。

マイナス金利政策の解除に伴い、金融機関が企業などに貸し出す事業資金に対する金利上昇が予測されており、工作機械の部品メーカー「大塚製作所」(水戸市)を営む根岸貴史さん(49)は「これ以上金利が上がるのは困る」と声を落とす。

人手不足に陥っている中小企業は求人広告費など新たな負担も重いとみられ、根本さんは「まだまだ若手が少なく困っているが、ハローワークからの紹介だけでは人材は集まらない」と語り、「求人広告を出すには多額の費用が必要。受注拡大のため新たな設備も導入したい。金利が上がるなら投資を控えるしかないのか」と困惑した表情。マイナス金利政策解除を決めた日銀に対しては、「一部上場企業の声しか聞いていないのでは、という印象。中小企業にもっと目を向けてほしい」と訴えた。

中小企業の経営者がマイナス金利政策解除を不安視する一方、金融機関は今後、普通預金の金利を現行の0.001%から引き上げるとみられている。

アルバイト代や仕送りなどを銀行に預けているという茨城大の山本亮太さん(19)は、「どれぐらい利息が付くかにもよる」としながらも、「利用者にとっては少しでもお金が増える方がいいと思う」と話した。

金利引き上げについては、個人の住宅ローン金利が中長期的に引き上げられるとみられる。中でも、固定金利に比べると利率が低い変動金利が人気のため、消費者からは金利上昇に伴う負担増を懸念する声が聞かれた。

変動金利でローンを組んでいるという石岡市の40代女性は「実際に住宅ローンの金利が上がったら、家計の負担が増えてしまうので心配」と不安そうな表情を浮かべた。

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