キヤノンアスリートクラブ九州 地元の声援を力に変える市原梨花 【大分県】

地元・大分で再出発した―。昨年9月に宮崎銀行女子陸上部からキヤノンアスリートクラブ九州に移籍した佐伯市出身の市原梨花。いくつかの選択肢はあったが、「(競技を)続けるなら地元で走りたかった」と加入を決めた。その2カ月後の全日本駅伝予選会に出場し、11月の全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)も走り切った。「社会人になってから目標としていた大会に出ることができてうれしかった。楽しく走ることができた」と喜びをかみ締めたが、「もっと応援される選手になりたい」と湧き上がる力を感じた。

小学2年の頃に「佐伯わくわくクラブ」に入部し、陸上を始めた。短距離から長距離まで走っていたが、6年時に「全種目を頑張ったけど、長距離なら勝てると思った」と専門種目を絞った。中学、高校での全国大会出場歴はなく、ほぼ独学で練習メニューを考えて競技を続けてきた。高校卒業後に宮崎銀行女子陸上部に入ったのは、日本文理大学付属高の先輩のつながりだった。「高校1年から合宿に参加していたこともあり、走るのは楽しかったので決めた」(市原)。ただ、経験も長距離の知識もない市原は、結果を出すまで苦戦した。それでも「強くなっているのは実感していた」と毎年1500m、3000m、5000m、10000m、ハーフの5種目のどれかは自己ベストを更新している。

クイーンズ駅伝では5区を走った

高校を卒業して5年が過ぎ、充実感も感じていたが、環境を変えることを決意した。キヤノンアスリートクラブ九州に加入してからは、「毎日の練習でやり切る」ことを目標に自分と向き合っている。今年で25歳となる市原は、「長距離に年齢は関係ない」と前置きした上で、「日本のトップクラスの選手は30歳を超えている人も多い。自分に嘘なく、その積み重ねで出た結果が自分の納得できるものであったら、いつ辞めてもいいと思っている」と自身のゴールを考えている。

「メンタルの比重が大きい長距離は、レース経験を積めば積むほど対応できる、それが楽しい」と市原は言う。今年の目標は「クイーンズ駅伝出場と各種目での自己記録更新。そして、応援してもらえる選手になること」。「走ることで自分と向き合える」と自分の体と対話しながら、今日もベストを尽くす。

応援してもらえる選手になることが目標と語った

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS