【墓じまい】お彼岸に考える「お墓は本当に必要なのか?」悩ましき“実家のお墓どうする問題”

<参考>2024年のお彼岸っていつ?墓じまい費用に関するデータも紹介

きょうは春分の日。お彼岸の中日です。家族・親族揃ってご先祖様のお墓参りに行かれる人もいるのでは?

きれいにお掃除したあとに花を手向け、故人の好物をお供えする。お墓参りは、せわしい日々の中でも大切にしたいひとときである一方、これから先のお墓の管理について悩む家庭が増えていることも確かです。

少子化が進むいま。夫婦がそれぞれの実家のお墓の管理をしている場合、子どもへの負担を考え、「墓じまい」に行きつくことは不思議な話ではないでしょう。とはいえ実際に墓じまいを行うことは、ほとんどの場合一大決心が必要です。

今回は、2024年3月12日、終活サービスを提供する鎌倉新書が公表した【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)の結果を交えながら、「墓じまい」について考えていきます。

記事後半では、2024年の春・秋のお彼岸の日取りや、改葬件数のデータ、墓じまいに必要となる手続きなどに関するお役立ち情報をお届けします。

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【墓じまい】悩ましき「実家のお墓どうする問題」

お彼岸に思わず考えてしまう「実家のお墓どうする問題」

お墓を買うときは、家を買うときとは違って、登記手続きは不要です。お墓の持ち主は、管理維持費を払ってお墓を使い続けます。

お墓を撤去することを「墓じまい」と言います。具体的には、お墓の石や場所をきれいにして、管理者に返します。そのあと別の供養に移す「改葬」までを含めて墓じまいと呼ばれることが多いですね。

現在のお墓を一時的に片付けて、家族や友人が行きやすい場所に移したり、永代供養ができる共同のお墓や納骨堂、散骨や樹木葬など、新たな供養の方法はたくさんあります。

改葬件数「2022年は過去最高に」

厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると、2022年度の全国の改葬件数は過去最高の15万1076件に。この四半世紀の間に倍増しているのです。

また、全国石製品協同組合(全石協)の調査結果によると、お墓の購入予定者の48.9%が「七回忌まで」「三十三回忌まで」というように、お墓の使用期限を前もって考えている、つまり「墓じまい前提」であるという結果も。

なぜ「墓じまい」を考えたの?みんなの検討理由が知りたい

鎌倉新書の【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)では、墓じまいを検討したり実施経験がある人に「改葬・墓じまいを検討した理由」をたずねています。

「改葬・墓じまいの検討理由」

  • お墓が遠方にある:54.2%
  • お墓の継承者がいない:44.8%
  • お墓の維持・管理費がかかる:27.4%
  • お墓を継承したくない:9.9%
  • その他:3.0%

「お墓が遠い」「跡継ぎがいない」など、致し方ない理由で墓じまいを検討するケースが多いようですね。お墓そのものを継ぎたくないという気持ちの問題という人は3%と少数派でした。

墓じまいにかかるお金はいくら?

墓じまいを検討しているものの、費用面が気になる人は多いでしょう。同調査より、改葬・墓じまいの実施費用に関するデータも見てみます。

改葬・墓じまいにかかった費用はどのくらい?

改葬・墓じまいの実施費用
  • 30万円以下:16.0%
  • 31万円~70万円:24.2%
  • 71万円~110万円:19.5%
  • 111万円~150 万円:15.6%
  • 151万円以上:15.2%
  • わからない:9.4%

鎌倉新書の調査では、改葬・墓じまい費用の回答として最も多かったのが「31万円~70万円」の24.2%。とはいえ、その他の費用帯に幅広く分布しています。

また、同調査リリースによると、墓石の撤去費用の相場は1平方メートル当たり10万円~15万円前後。墓地の広さに応じた費用がかかっていることが推測されます。

改葬・墓じまいを「やめた理由」トップは?

改葬・墓じまいを「やめた理由」トップは?
  • 解体費用が高すぎた:26.3%
  • 親戚から理解を得られなかった:21.1%
  • 手続きがめんどうだった:21.1%
  • 家族から理解を得られなかった:19.7%
  • 離檀料が高すぎた:11.8%
  • 将来検討:11.8%
  • 改葬先の費用が高すぎた:7.9%
  • お寺・墓地運営者から理解を得られなかった:7.9%
  • 先祖にうしろめたい気持ちになった:6.6%
  • その他:7.9%

改葬・墓じまいを検討したけれど、実際には実施しなかった、という人もいるでしょう。同調査によると、その理由のそのトップが「解体費用が高すぎた」、ついで「親戚から理解が得られなかった」でした。

墓じまいにかかる費用総額は、移転元や改葬先となるお墓のスタイル、お墓の移転の方法などにより異なります。特に改葬先の墓所の管理者(霊園・お寺など)と相談することが大切です。

家族がこれまで大切にしてきた慣習を尊重しながら関係者の同意をもらったうえで、気持ちのこもった墓じまいができたらよいですね。

ちなみに、国民生活センターには、お墓の引っ越しを知らせたところ、お寺から高額な離壇料を請求されたというトラブル報告も。心穏やかに墓じまいが進むケースばかりではない点も、知っておきたいところです。

次では、2024年の春・秋のお彼岸の日取りや、改葬件数のデータ、墓じまいに必要となる手続きなどに関するお役立ち情報をいっきにお届けします。

【お彼岸で知っておきたい】墓じまいにまつわる参考資料・データ

【ご参考】2024年お彼岸カレンダー

2024年【春・秋のお彼岸っていつ?】

2024年「春のお彼岸」

  • 3月17日(日)~3月23日(土)
  • 彼岸入り 3月17日(日)
  • 中日(春分の日) 3月20日(水)
  • 彼岸明け 3月23日(土)

2024年「秋のお彼岸」

  • 9月19日(木)~9月25日(水)
  • 彼岸入り 9月19日(木)
  • 中日(秋分の日) 9月22日(日)
  • 彼岸明け 9月25日(水)

【墓じまいにかかる費用】

移転元での主な内訳

  • 必要書類の発行手数料
  • 墓石の撤去処分、区画整備代(墓じまいの場合)
  • 遺骨の取り出し費用
  • お布施代
  • 離檀料(檀家だった場合)
  • 墓石運搬費用(移転先で使用する場合)

移転先での主な内訳

  • 永代使用料、事務手数料
  • 新しい墓石代(新しい石碑を建てる場合)
  • 建墓の基礎工事、据付工事費用
  • 埋葬費用
  • お布施代
  • 入檀料(移転先が寺院だった場合)

【グラフ】改葬件数の推移

【グラフ】改葬件数の推移を見る

出所:衛生行政報告例(e-stat)をもとに筆者作成
  • 1998(平成10)年:7万263件
  • 2003(平成15)年:6万8579件
  • 2008(平成20)年:7万2483件
  • 2013(平成25)年 :8万8397件
  • 2018(平成30)年 :11万5384件
  • 2019(令和元) 年:12万4346件
  • 2020(令和2)年 :11万7772件
  • 2021(令和3)年 :11万8975件
  • 2022(令和4)年 :15万1076件
  • 鎌倉新書【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年) 「遠くて行かれない」「承継者がいない」が動機、大変なことは「新たなお墓を見つけること」(PR TIMES)
  • 全石協「これからお墓を購入しようと考えている方の‟お墓の形態”と”お墓の使用期限”についてのアンケート調査」(PR TIMES)2022年9月19日
  • 独立行政法人国民生活センター「墓を引っ越しする」と言ったら、寺から高額な費用を要求された
  • e-GOV法令検索「昭和二十三年厚生省令第二十四号 墓地、埋葬等に関する法律施行規則」
  • 衛生行政報告例/平成10年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成15年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成20年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成25年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成30年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和元年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和2年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和3年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和4年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)

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