7歳で芸歴5年、大河出演の子役が親から言われたい言葉「“まあ、やっていいでしょう”って」

池村碧彩 撮影/三浦龍司

愛くるしい笑顔で観るものをときめかせる子役・池村碧彩さん。2021年に『シナぷしゅ』のオープニング&エンディングに登場すると、一生懸命なダンスに子育て世代がノックアウトされ、同年放送のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』、そして2023年には『どうする家康』に出演するなど、いまもっとも躍進する子役のひとりといえる。そんな池村さんのTHE CHANGEとは。【第2回/全3回】

芸歴は5年目。CMにドラマに映画にと、大人顔負けの活躍を見せている7歳の子役である池村碧彩さんは、質問を投げかけると、こちらの意図を的確に汲みつつ淀みなく答えてくれる、まさに“天才子役”。一方で、けっして等身大以上に大人ぶっているわけではない、本来の無邪気さを感じさせるような、自分の言葉で話してくれるのだ。

さらに撮影の合間には、「2度あることは3度ある~♪」と自作のおちゃめなことわざの歌を歌い、周囲を思わず微笑ませる、そんな小学1年生らしい素顔をのぞかせる。さらに仕事がない日の放課後は、宿題や習いごとに忙しい、ごく普通の7歳なのだ。

「習いごとは、空手をやっています。3ヶ月くらい前から。1年くらい前に、自分でやりたいって思ったんです」

ーーなぜ空手をやりたいと思ったんですか?

「強くなりたいって思って。5歳くらいのときから“空手、やりたーーい!”って思ってて」

ーーそのとき、お父さんやお母さんはなんと言っていましたか?

「“行けるときがあったら行こうね”って言ってて。そのあと、お母さんが教室を探してきてくれて、それで習うようになりました。まだ白帯で、組手をやっています。でも今は、英語をやりたいなって思っています」

英語で書かれた台本の中身を読みたい

子どもを持つ親なら直面する、習いごとあれもこれもやりたい問題。子どもの願いを叶えたいと思う一方で、時間や金銭面などさまざまな問題と天秤にかけ、断念せざるを得ない現実もある。池村さんの場合はどうだろうか。

「いま吹き替えの声優をやっている映画『FLY!/フライ!』で、英語版の台本を見たんです。その台本の中で、私の役のグウェンが言っていることがすごくおもしろくて。だから自分で読めるように、英語を習ってみたいんです」

ーー英語もやりたいことは、お父さんやお母さんに伝えましたか?

「はい。お父さんに伝えて。“またやりたい”って」

ーーまた?

「はい。前、英語の教室に通っていたんです。でも私から”やめたい”って言ってやめたんです。だから“もう一度やりたいな”って思ってお父さんに言ったら、“じゃあまた今度ね”って」

池村碧彩 撮影/三浦龍司

習いごとを再開したい……子どもの要望にどう応える?

大人なら誰もが力強く頷くであろう、池村家の父の返事。強く拒否はできないが、「一度自分から辞めたのだから、そう簡単に再開してよいのだろうか」という葛藤を感じてしまう。

こんなとき、親は試されているような気分になってしまうが、正解はそれぞれの子どもにしかわからない。池村さんは、どんな答えを欲していたのだろうか。

「”まあ、やっていいでしょう”みたいな」

池村碧彩 撮影/三浦龍司

シンプルかつ子どもの立場としてハッピーになれる回答を教えてくれる池村さん。もっと肩の力を抜いていい。そんなことを教えてくれているようだった。

さらに「お父さんやお母さんから言われて、うれしかった言葉は?」とたずねて返ってきた言葉も、シンプルだった。

「お母さんと一緒に練習をすることがあって、その時間がすごく楽しいんです。そのときに“覚えるのがよくなったね”と言ってもらえると、またがんばろう! って思います」

大人にとってはなにげない励ましのひとつかもしれないが、池村さんにとってはかけがえのない深く響く言葉だったのだ。百戦錬磨の大人たちと肩を並べて、日々プロフェッショナルな仕事をする、そんな秀でた表現力を持つ子役の源が、垣間見えたようだった。

池村碧彩(いけむら・あおい)
2016年5月10日生まれ、東京都出身。2019年より活動を始め、2021年放送のNHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』でヒロイン百音の幼少期を演じ知名度が全国区に。2023年放送NHK大河ドラマ『どうする家康』では徳川家康の長女・亀姫を演じ、同年3月にはミュージカル『SPY×FAMILY』でアーニャ・フォージャー役に抜擢。さらに3月15日(金)より全国公開の映画『FLY!/フライ!』では声優に初挑戦し、各方面で活躍中。

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