レストランの2階に「陶器」「織物」…"古びた部屋"を作家と客の「交流の場」に 客が選んだ"器"に料理を盛りつける店が新たな取り組み

島根県松江市に古民家を改装したレストランがあります。客が選んだ“器”に料理を盛りつけるというユニークなレストランですが、店の2階で、新たな取り組みが始まっています。作家と客がつながるようなスペースです。

松江市灘町にあるグローカルスペース「&」。

1階のレストランは、店内に並ぶ松江の窯元や工房の器を自分で選んで、それに、注文した料理が盛り付けられるという、ユニークなお店です。

そんな「&」の2階に上がってみると…

陶器や絵画、織物にアクセサリーなど様々な作品が展示されていました。

グローカルスペース「&」 岸本廣美 店主
「ものづくりをされる方の拠点となるスペースがあって、でも、提案する場所や披露する場所が少ないなという印象だったので。1階が飲食で盛り上がっていれば、2階も必然的にお客さん来ると思っているので、PRができるように」

3か月前の同じ場所は、破りかけの障子も残ったまま。

ここは、殺風景な古びた部屋でした。

グローカルスペース「&」 岸本廣美 店主
「ここはもともとの壁紙でした。塗り壁にする予定です。色は白。あんまり目立ち過ぎないナチュラルなカラーにしたいです」

「&」の店主、岸本さんは、松江市の地域おこし協力隊でもあります。

「工芸の魅力発信と担い手育成事業」というミッションを担う中で、ものづくりをする作家の発表や市民との交流の場を作りたいと考えました。

グローカルスペース「&」 岸本廣美 店主
「松江って本当に個性豊かな作家さんが多いです。その中で、ひとりで出来そうなくらいの広さで、販売会とかをやってもらったり、ギャラリーとして使ってもらったりもしてほしいと思っています」

3か月前、そう語っていた場所は、きれいに改装され、作り手と、その作品が並ぶ素敵な場所になっていました。

開催されているのは、「アーツクラフツStyle展」です。

松江市をはじめ、島根県東部で活躍する工芸作家や画家、イラストレーターなど7人の作り手が集まり、魅力いっぱいの作品を展示販売しています。

松江市東出雲町の「いまみや工房」の作品は、石見地方の赤土などを使い、土の茶色が引き立つ温かみのある風合いが特徴です。

いまみや工房 三島耕二 さん
「すごく雰囲気のある感じなので、いろんな人が、これからここを拠点にして楽しい発信ができる場所になりそうだなぁと思っています」

また、安来市広瀬町の「結工房」の作品の展示も。

藍や草木で染めた糸を手織りした作品が並びます。

結工房 戸谷昌代 さん
「いろんな作家さんがいて、その方々の思いとかを知る機会になって、とてもいいです」


「作る側も発表する場が増えて嬉しいでしょうし、見る側としてもいろんなものを受け取ることができると思うので、すごく良い場所だと思います」

こじんまりとした2階の部屋は、作家と客の交流も生まれ、岸本さんが思い描いていた場所になりました。

グローカルスペース「&」 岸本廣美 店主
「実際、階段も急で上がりづらいし、搬入・搬出のことだけ考えると、本当に大変だなと思うけど、作家さん自身が楽しんでいただけるのが一番だと思っているので、とっても良かったと思います。人と人とがつながるような、『&』にちなんだ場所になれたら」

松江市の地域おこし協力隊のミッションから広がった、岸本さんの活動。

グローカルスペース「&」の魅力も、まだまだ広がりを見せそうです。

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