校長から似顔絵プレゼント 卒業生歓声 年度内で閉校の大村小 茨城・筑西

贈られた似顔絵を手にする子どもたち=筑西市海老ケ島

卒業、おめでとう-。本年度で閉校する茨城県筑西市海老ケ島の市立大村小で、今春卒業する6年生40人に似顔絵が贈られた。柳田高志校長(58)が一人一人を丁寧に描き、校庭の桜の小枝から作った桜色の絵の具を使った。子どもたちは予告なしのプレゼントに「やった、うれしい」「似てる」と歓声を上げ、母校の思い出を刻んだ。

柳田校長は、美術系の大学に進み、路上の似顔絵描きをしながら欧州を旅した経験の持ち主。中学校で美術の教科を担当したほか、県内の美術館の学芸員として展覧会を企画運営したこともある。

卒業生に似顔絵を贈り始めたのは、市立古里小の校長だった2021年。新型コロナウイルス禍で学校行事の中止が相次ぎ、「何か特別なことをしてあげたい」と思い立ったのがきっかけだった。

今回は校庭の桜の小枝を煮だし、その液体を遠心分離機にかけた上、桜色の部分をスポイトで採取。にかわを混ぜて絵の具にした。似顔絵の背景を彩りつつ、肌の色にも使って背景となじむように仕上げたという。

6年生の教室をサプライズで訪れた柳田校長は「皆さんに渡したいものがある」と切り出した。「皆さんの小学校時代をいつでも思い出せるように、みんなの顔を先生の手で描かしてもらった」と伝えると、児童たちは「ええっ」と驚きと喜びの入り交じった表情を見せた。

大木悠睦君(12)は「心を込めて作ってくれてうれしい。桜の色がきれいで、落ち込んだ時もこれを見たら元気になれる」と話した。柳田校長は「卒業を前に(児童が)喜び合えるシーンをつくれて良かった」と思いを述べた。

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