長崎大と民間企業共同研究 生成AI活用し模擬患者 医師の能力向上支援目指す

生成AIを利用した医学生トレーニング用の模擬患者アバターのデモンストレーション=長崎市、長崎大

 長崎大情報データ科学部の小林透教授の研究グループと医療ITなどを手がけるシステック井上(長崎県長崎市)は、生成人工知能(AI)を利用した模擬患者アバター(分身)の研究を始めた。医師を対象に患者とのコミュニケーション能力や専門知識に基づいた問題解決力向上の支援を目指す。長崎市文教町の長崎大で19日、試作版を使ったデモンストレーションをした。
 模擬患者は医学生のために患者役を演じ、事前に設定されたシナリオに基づいて問診などの練習相手をする。実際の患者と同じような症状や会話を再現する知識とスキルが必要とされ、都市部では俳優が演じることがある。ただ、地方では模擬患者役の人材が不足。同大医学部では学生が互いに演じているケースがあるという。
 医療人材の教育に携わっている長崎大学病院の川㞍真也准教授が研究に協力。3者の連携でAIに医療の専門知識など学習させ、あらゆる疾患や年齢、性別を実演できる模擬患者アバターを目指す。
 今秋から試作版による実証実験を始め、2年後の製品化を目指す。システック井上の村井浩一執行役員は「国内外で活用してもらえるような製品にしたい」と話した。

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