じん肺補償対象外の元三菱社員 遺族慰謝料求め提訴 長崎地裁

 三菱重工業長崎造船所(長崎県長崎市)で働きじん肺になった元社員が、同社独自の補償制度の要件を満たす前に死亡したため補償対象外とされたとして、遺族が同社に慰謝料など約2200万円を求めて長崎地裁に提訴したことが19日、分かった。提訴は2月13日付。
 訴状などによると、元社員は1956年から約37年間、同造船所で溶接などの粉じん作業に従事し、2006年にじん肺管理区分2の決定を受けた。21年2月、合併症の続発性気管支炎を発症し、同年6月に死亡した。
 同社は1999年、じん肺に罹患(りかん)した直接雇用の社員や退職者に対する補償制度を創設。元社員は合併症を発症した後、国の労災補償を受給したが、同社制度の受給要件とされる労災補償の継続受給期間1年半が経過する前に死亡した。遺族は、同社制度の補償対象外とされたのは不当と主張している。
 同社は取材に「適切に対応していく。主張は裁判の場で明らかにしたい」としている。

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