東京の桜撮影おすすめスポット10選! プロと編集スタッフがチョイス

By 吉森信哉

桜の季節がやってきました! 東京の桜撮影スポットから、プロと編集部が厳選してガイドします。こちらを参考に、ベストショットを狙ってください。

神代植物公園 (調布市)

千鳥ヶ淵 (九段下)

ソニー α7 III タムロン 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD 絞り優先オート F11 1/80秒 ISO800 WB : オート

千鳥ヶ淵は、日本武道館や北の丸公園などのある敷地を取り囲むお堀で、一帯は桜の名所として有名。堀の外側の千鳥ヶ淵緑道などにも桜の木は多くあるが、見応えがあるのは “堀の内側の桜並木” だろう。

この写真は、堀の北側にある田安門に通じる道の途中で撮影したもの。堀の斜面に沿うように伸びる枝に咲く花を、手前と奥の花密度が高く見える撮影ポジションを探し、望遠ズームで切り取ってみた。この際、斜面に生える草の緑色や、堀の水面反射の色や明暗にも着目した。そうすれば、画面に華やかさが出せたり、桜の存在感をより高められる。この日は、時折小雨が降るあいにくの天気。だが、晴天時とは違う “しっとりとした桜” も味わい深い。〈吉森信哉〉

日比谷公園 (日比谷)

オリンパス OM-D E-M1 Mark II LUMIX G VARIO 7-14mm / F4.0 ASPH. 絞り優先オート F8 1/500秒 −0.3補正 ISO200 WB : オート

皇居外苑に隣接する日比谷公園は “ビジネス街の緑のオアシス” などと称される、大都市東京の貴重な憩いの場所である。公園の規模からすると桜の木の数はさほど多くないが、小さな噴水がある「かもめの広場」や、草地広場の周辺などで、絵になる桜を見ることができる。

この大都市の中の公園では、開花した桜の木だけでなく、公園外のビルの姿も取り入れて撮影してみたい。そうすれば “ビジネス街の緑のオアシス” らしさが感じられる写真になる。この日は晴天に恵まれて、青空の中に白っぽい桜の花が映える。そう、被写体に選んだ桜は平凡だったが、背後に広がる青空やビルが、地域性を感じさせてくれるのだ。〈吉森信哉〉

飛鳥山公園 (王子)

オリンパス OM-D E-M1 Mark II LUMIX G VARIO 7-14mm / F4.0 ASPH. 絞り優先オート F5.6 1.6秒 −0.7補正 ISO800 WB : オート

王子駅前の小高い丘にある飛鳥山公園。ここは、八代将軍吉宗が江戸庶民の行楽のために桜を植樹し開放した、日本初の公園のひとつである。桜の名所としても知られていて、桜の開花時期には園内に雪洞 (ぼんぼり) が灯り、夜桜の見物や撮影も楽しめる。公園内には、ユニークな遊具や鉄道車両 (都電とD51) が静態保存されている児童エリアがあり、その周辺でも多くの桜を見ることができる。

この写真は日没後の児童エリアの端から撮影したもの。14mm相当の超広角域で、外灯で仄かに照らされる桜の枝を中心に、画面下に都電車両と宮殿風の遊具、画面上に上空に浮かぶ月を写し込む。手ブレに注意しながら (手ブレ補正機能を使用)、露出補正でイメージ通りの明るさになるよう調整して撮影した。〈吉森信哉〉

大國魂神社 (府中市)

オリンパス PEN Lite E-PL7 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ 絞り優先オート F4.5 1/8秒 −0.7補正 ISO800 WB : 晴天

大國魂神社は、大國魂大神 (おおくにたまのおおかみ) を守り神とする武蔵国の総社。4月30日~5月6日に行われる例大祭「くらやみ祭」などで、つとに知られている神社である。大鳥居から続く参道沿いにも桜並木はあるが、注目したいのは随神門と中雀門の間の敷地内にある枝垂れ桜。その数は一本で特に大きな木ではないが、周囲の厳かな雰囲気も手伝って公園のしだれ桜と違う荘厳な雰囲気が感じられる。

この枝垂れ桜は、開花時期に合わせてライトアップが行われる (19時まで)。その時間帯に撮影すれば、日中とは異なる幽玄な雰囲気に仕上がる。撮影時のポイントは、周囲が暗くなる前から撮影を開始すること。時間経過に沿って何度も撮るようにすれば、自然光とライト光のバランス (色味や明るさ) が絶妙なタイミングを捉えらえるだろう。〈吉森信哉〉

高幡不動尊 (日野市)

キヤノン EOS R6 Mark II RF24-105mm F4 L IS USM 絞り優先オート F8 1/125秒 −0.3補正 ISO800 WB : オート

関東三大不動のひとつ「高幡不動尊金剛寺」は、新選組副長・土方歳三の菩提寺としても知られている。初夏には、境内と隣接する山林に多種多彩なアジサイが咲き誇る “アジサイの名所” としても有名だ。そして、春には美しい桜も堪能できる。

桜の木は境内にもあるが、隣接する山林の斜面を彩る数々の桜の木は特に見応えがある。この写真は、交通安全祈願受付所から、駐車場の脇にある交通安全祈願殿と横にある桜の木を狙いつつ、背後の山林斜面の桜も写し込んだ。作画に関しては、画面内の整理に気を配った。画面下に駐車場の施設や車が入らないように、画面上には曇天の空が入らないように……そういった点を意識した。〈吉森信哉〉

神代植物公園 (調布市)

ソニー α7 III タムロン 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD 絞り優先オート F8 1/320秒 +0.3補正 ISO125 WB : 太陽光

春と秋のバラフェスタや、3月下旬~4月上旬の「さくらまつり」などで賑わう神代植物公園は、都内屈指の花の名所である。広々とした芝生広場の周辺には、多種多彩な桜の木が植えられている。築山や売店周辺のソメイヨシノも美しいが、さくら園とその周辺の枝垂れ桜が満開の時季は特に見応えがある。

この写真では、さくら園に植えられた紅色が濃いヤエベニシダレをメイン被写体に据えながら、周辺 (はぎ園など) に植えられた白っぽい枝垂れ桜も取り入れた。その取り合わせによって、画面内の色彩にメリハリをつけることができる。また、望遠ズームレンズの持つ引き寄せ効果と圧縮効果を利用して、花密度の高さが印象的な写真に仕上げた。〈吉森信哉〉

街路樹モデル園 (調布市)

ソニー α7 III トキナー atx-m 85mm F1.8 FE 絞り優先オート F2.2 1/1600秒 +0.3補正 ISO100 WB : 太陽光

神代植物公園だけでなく、その周辺にも桜の見所は多い。神代植物公園の少し東にある深大寺五差路。その場所に隣接する公園「街路樹モデル園」も、そんな桜の見所のひとつである。この公園の桜の木の多くは、かなり低い位置まで枝があるので、広角レンズやマクロレンズなどを使って、枝や花に接近した撮影も楽しめる。また、沿道や公園内の遊歩道に沿って植えられた並木を手前から奥まで入れると、花密度が高い写真にできる。

ここでは大口径の中望遠単焦点レンズを使用して、ポイントとなる枝 (画面の中央近く) にピントを合わせて前後を適度にぼかした。そして、かなり近い位置にある枝を画面に入れて大きくぼかして、より奥行が感じられる写真になるよう心がけた。〈吉森信哉〉

野川沿いの遊歩道 (調布市など)

ソニー α7 III タムロン 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD 絞り優先オート F5.6 1/400秒 ISO100 WB : 太陽光

東京都を流れる野川は、多摩川水系多摩川支流の一級河川。その水源の敷地 (国分寺市) から南東方向約5kmの下流には、都立の野川公園がある。ここでは本格的な桜並木が撮影できるが、個人的にはローカルな雰囲気が漂う野川沿いの桜の景色をおすすめしたい。

野川公園から下流に向かって進むと、以前はライトアップ演出が行われていたソメイヨシノの桜並木がある。さらに下流に向かって進んで甲州街道を渡ると、すぐ先に京王線の短い鉄橋が見える場所に到着する。そして、赤みが強くて鮮やかな桜を見ることができた。ただし、並木のようなスケールではないので、望遠ズームの画角で花が咲く枝を画面内に大きく写したい。そして、鉄橋やその先の高層ビルを背景のポイントにしつつ、川辺や遊歩道を行き交う人の姿もさり気なく写し込んだ。〈吉森信哉〉

墨田公園 (台東区・墨田区)

ソニー α9 II FE 24-70mm F2.8 GM マニュアル 絞りF5.6 1/1000秒 ISO100 WB:オート

さくら名所100選にも選ばれている花見の人気スポット。隅田川の両岸を約1kmにわたって桜並木が続き、台東区側から狙えば東京スカイツリーとのコラボレーション撮影ができる。

浅草雷門がすぐ近くなだけに、花見シーズンはかなりの観光客でにぎわう公園だが、スカイツリーを入れて撮影するのであればあおる構図になるので、人を入れずに撮ることもできる。あとは電柱の間を探して撮影したいところ。さくらとスカイツリーがともにライトアップされる夜の撮影もオススメ。〈CAPA CAMERA WEB 編集部 : 松村広行〉

目黒川 (世田谷区・目黒区・品川区)

ライカ Q マニュアル 絞りF2.0 1/125秒 ISO100 WB:オート

目黒川の上に現れるソメイヨシノのトンネルは撮影スポットとして有名。池尻大橋駅付近から約4kmに渡り約800本のソメイヨシノを中心とする桜並木が続き、左右の川岸から桜がアーチ状に川を覆う。

花見シーズンには屋台が立ち並び、下流に向かって中目黒駅に近づくほど混みあうため、上流の池尻大橋に近いほうが、撮影には向いている。それでも多くの人でにぎわうため、平日の早朝がオススメ。またさくらが散るころに行くと、散った花びらが川に落ちて花筏を作る光景もなかなかにフォトジェニックだ。〈CAPA CAMERA WEB 編集部 : 松村広行〉

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