「出ていく金ばかり増え」「購買意欲湧いてくる」 マイナス金利解除に群馬県民の反応は?

 日銀が大規模な金融緩和策の柱だったマイナス金利政策の解除を決めた19日、群馬県民からは決定を冷静に受け止めつつも、自身の暮らしや将来設計への影響を懸念する声が上がった。先行的な物価上昇が生計を圧迫する中、賃金も上昇傾向となる好循環に入ったとの判断だが、地方の中小企業まで賃上げの波が確実に行き渡るか不透明だ。マイホームを考える世代は住宅ローンの負担増を警戒した。

 「出ていく金ばかり増えて釣り合っていない。住宅ローンの支払いまで増えたら大問題だ」。太田市で水道会社を営む男性(49)は4年前に34年の変動金利型住宅ローンで家を購入し、毎月8万円を支払っている。ここ数年で仕事用の資機材が値上がりし、インボイス制度導入の手間もあった。今後、固定金利に切り替えるか、銀行とよく相談するつもりだという。

 0歳と4歳の子を育てる高崎市の建設業の男性(29)は子どもが就学する前に家を建てたいと考えている。今回の政策転換でローンをためらう面もあるが、これまでの物価高で既に不安を感じており「気持ちに大きな変化はない」と淡々と述べた。同市に勤める男性会社員(39)は住宅ローンを変動金利で借り、支払いが20年ほど残る。「金利が上下することは承知して借りたが、この先どこまで上がるか気になる」と話した。

 桐生市の住吉章さん(84)は「欲しい物を我慢してきた。(政策転換と聞いて)購買意欲が湧いてくる。ムードが変わって消費が活発になり、日本全体の景気が改善するといい」と歓迎した。前橋市の男性会社員(47)は「景気全体の底上げにつながればうれしい」と期待を込めつつ「賃上げが進まない中小企業が好循環に加われるかは長い目で見たい」と冷静に受け止めた。

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