サラリーマンとして働く以上、やはり昇進して高い給与を得たいもの。だが、厳しい競争を勝ち抜いて、ようやくステージを上がっても、必ずしも満足できる結果にはならないかもしれない。厳しい実情を見ていく。
大卒サラリーマンの平均給与…月収43.2万円、年収658.4万円
厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.4歳)の平均給与は、月収(手当て等込み)で43.2万円、年収で658.4万円となっている。
20代前半で月収26.0万円、年収348.6万円だった給与は、60代前には月収54.6万円、年収857.7万円と、ピークに達する。
★年齢別「大卒サラリーマンの平均給与」
20~24歳:26.0万円/348.6 万円
25~29歳:31.2万円/460.9 万円
30~34歳:36.4万円/544.9 万円
35~39歳:42.1万円/637.1 万円
40~44歳:45.3万円/693.4 万円
45~49歳:48.9万円/756.4 万円
50~54歳:53.2万円/837.2 万円
55~59歳:54.6万円/857.7 万円
60~64歳:43.6万円/642.8 万円
※ 数値左平均月収(手当等込み)/平均年収
仕事をするにあたり、「やりがい」「意義」などももちろん考慮すべき部分だろうが、人生の大半を費やして働く以上、やはり給与額は極めて重要だ。
会社員の場合、給与アップを目指すには、業務に必要な資格を取る、あるいは昇進に向けて勉強をするというのも選択肢となるだろう。しかし、それが狙えない環境なら、さらに給与の高い企業に転職するのが最も現実的だといえる。
成果主義制度を導入している会社だと大幅な給与アップの可能性もあるが、長期的に見ると、必ずしも願い通りとならないケースもあるため、転職先の給与形態などを慎重に精査することが大切だ。
昇進&昇給で「勝ち組」の仲間入りを果たしたはずが…
では、どのあたりまで昇給すれば、勝ち組サラリーマンとして胸を張れるのだろうか?
国税庁『統計年報書 令和3年度版』によると、給与所得者の全国上位10%は「年収1,000万円超」となっている。とりあえず、そこまで到達できれば「勝ち組」といえるだろう。ちなみに「年収2,000万円超」は全国で2.8%であり、この水準なら紛うことなき勝ち組だ。
では、年収1,000万円超とは、社内ではどれほどのレベルなのだろうか。
前掲の『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、大企業勤務の係長(平均年齢44.6歳)だと、平均給与48.9万円、年収で772.3万円。課長(平均年齢48.5歳)だと月収62.2万円、年収で1,038.4万円。
大企業なら「課長」への昇進で、勝ち組の仲間入りが果たせそうだ。
しかし、昇進&昇給しても、このように昇給を体感できない・納得できないという人も多い。それもそのはず。そこには納得の理由=日本の所得税率がある。
日本の所得税は累進課税だ。所得が増えるに従い、税率も高くなっていく。所得「6,950,000円 から 8,999,000円まで」は税率23%のところ、「9,000,000円 から 17,999,000円まで」になると、一気に10%増の33%。これではむしろ、税負担の大きさのほうが強烈に感じられるかもしれない。
★所得税の税率
1,000円から1,949,000円まで…5%(控除額0円)
1,950,000円から3,299,000円まで…10%(控除額97,500円)
3,300,000円から6,949,000円まで…20%(控除額427,500円)
6,950,000円から8,999,000円まで…23%(控除額636,000円)
9,000,000円から17,999,000円まで…33%(控除額1,536,000円)
18,000,000円から39,999,000円まで…40%(控除額2,796,000円)
40,000,000円以上…45%(控除額4,796,000円)
48歳・大企業勤務の係長が課長に昇進・昇給した場合をみてみよう。
ざっくりとした計算だが「年収266万円増→手取り額160万円増」となり、およそ100万円のギャップが生じる。給与からは各種税金や保険料が引かれるが、なかでも大きいのが所得税だ。
「係長時代は年間9.5万円程度だったのに、課長になったら23.7万円!?」
参照:『【早見表】大企業の「係長」から「課長」に昇進した場合の「給与比較」…天引きされる「税金」や「保険料」も丸わかり 』
やっとの思いで昇進するも、給与明細を思わず二度見。こんなセリフも聞こえてきそうだ。
「なにかの間違いでは…!?」
サラリーマンの厳し過ぎる給与事情。日本で働くのは大変なのだ。
[参考資料]