[戦後79年えひめ]戦争捕虜の過酷な実態網羅 連合国軍収容所・民間人抑留所の事典刊行 新居浜に2ヵ所 別子銅山で坑内作業

新居浜市にあった2カ所の捕虜収容所などの調査研究成果を収めた「捕虜収容所・民間人抑留所事典―日本国内編」

 第2次大戦中、国内にあった連合国軍捕虜収容所130カ所と民間人抑留所29カ所を網羅し、知られざる過酷な実態と戦争の悲劇を掘り起こした「捕虜収容所・民間人抑留所事典―日本国内編」(POW研究会事典編集委員会編、すいれん舎)が出版された。県内には新居浜市に捕虜収容所が2カ所(後に1カ所閉鎖)あり、終戦時で644人を収容。捕虜は別子銅山での坑内作業などに従事させられ、収容中に45人が死亡したことが明らかにされている。

 執筆に関わったのは、戦争捕虜について調べている市民団体・POW研究会の20人。同会によると、旧日本軍は終戦直後に公文書類を焼却したため日本側の資料が極めて少ない中、連合国軍総司令部(GHQ)の公文書をベースに各国の資料分析や現地調査、関係者からの聞き取りなどを進め、約20年に及ぶ調査結果をまとめた。

 B5判998ページ。図や当時の写真を多用し、学校などでも活用できるよう分かりやすい表現に配慮したという。2万3100円。購入は書店か、すいれん舎=ファクス03(5259)6070=へ。

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