まるで「読むセラピー」? 男子高生のピュアな恋からシルバーカップルの日常まで “癒やし系”商業BL漫画おすすめ5選

仕事や勉強など毎日を忙しく過ごしている読者の皆さん、お疲れさまです。

漫画やアニメの美少年に癒されたいけれど、登場人物が多い作品や長編モノを読み始めるのは何となく重い腰が上がらない……。

そんなあなたにオススメしたいのが、サクッと読めて日常に癒やしを与えてくれる「癒やし系BL」。

実は今、2021年にドラマ化されてたちまち話題になった『みなと商事コインランドリー』を筆頭に、ほっこり&キュンキュンするBL作品が話題になっているのです。

そこで今回は、商業BLを愛してやまない筆者が、オフィスラブやシルバーカップルの日常、男子高生のピュアな恋愛などおすすめの癒やし系BL作品を5つご紹介します

①純粋なサラリーマンBL『明日平日だよ』作:かくたすず

©かくたすず/KADOKAWA

同じ部署の同期として働く田中と善財は、お互いのことが気になりつつも、「好き」と伝えるにはあまりにも近い距離。真面目で人見知り×天然で人気者という正反対な性格な二人が、すれ違いながらも近づいていく過程が尊い作品です。

表情や手の動きを丁寧に描いたコマ割りが印象的で、セリフはやや短め。

だからこそ二人のもどかしい距離感や、初恋にも似た純粋なドキドキ感が伝わってきて最上級の癒やしを与えてくれます。

単行本1巻126ページ

単行本1巻127ページ

初めてのお泊りシーンでは、ノリノリな善財とは対照的に“ヘタレ攻め”っぷりを炸裂してしまう田中のかわいらしい一面も。

大好きな人と一緒に過ごせることに「これ以上何かあると怖い」という田中の言葉に、急にしおらしくなる善財の表情にもほっこりしますよね。

もともとは、かくたすず先生のnoteとpixivで連載していた本作品。

あまりの人気ぶりに電子書籍化、さらに2024年2月にはKADOKAWAから単行本が発売されました。サラリーマンBLですがベッドシーンの描写は少なめなので、初心者の方でも楽しめますよ。

<作品情報>
作品名:『明日平日だよ
作者:かくたすず
出版社:KADOKAWA

②シルバーカップルの幸せな日常を描いた『スイもアマイも』作:市ヶ谷茅

©市ヶ谷茅/KADOKAWA

愛し合って30周年、70代のシルバーカップルの幸せな日常を描いた作品。2023年12月に単行本が発売されるやいなや、「多様性を重んじた新しいBLだ」と話題になりました。

主人公は、元消防士の清嗣と元三ツ星レストランのシェフ・修志。一緒に夕食の準備をしたり、恋人だった頃の思い出話をしながらティータイムを楽しんだり……そんな二人の間に流れるゆったりとした時間が、たまらなく尊いのです。

ある日清嗣の金庫を整理していると、これまで料理に添えて清嗣に残してきたメモ書きが大量に出てきて驚く修志。

第1話(単行本31ページ)

「もっと丁寧に書けばよかった」と照れ笑いする修志に、すかさず「俺にとっちゃ宝物なんだよ」と答える清嗣の真剣な眼差しを見ていると、こちらの心も浄化されていく気がします……!

第1話(単行本32ページ)

紆余曲折あった過去を乗り越え、互いを慈しみながら幸せな日々を送る“夫夫”の姿からは、単なる恋愛感情を超えた「家族愛」を感じることができます。

また、作中に登場する美しい料理も癒し要素の一つ

市ヶ谷茅先生の巧みな表現力によって描かれたおせち料理や豚バラとタルタルのサンドイッチなどの“飯テロ”料理は、見るだけで幸せな気分になれますよ。

第2話(単行本49ページ)

<作品情報>
作品名:『スイもアマイも
作者:市ヶ谷茅
レーベル:ビームコミックス
出版社:KADOKAWA

③ピュアでもどかしい純愛BL『君となら恋をしてみても』作:窪田マル

©窪田マル/白泉社

とある理由から人を好きになるのをやめた主人公・天は、ある日家庭の事情で江ノ島に引っ越すことに。そこで同級生の龍司と運命的な出会いを果たし、恋に落ちてしまうというストーリー。

好きだからこそお互いの言動をいちいち気にしてしまったり、反対にドキドキしたり……ピュアでもどかしい二人の恋はまさに青春そのもの!

世話焼きで包容力抜群な龍司の優しさはさることながら、泣いたり笑ったりコロコロと変化する天の表情に癒やされること間違いなしです。

特に最高なのは、花火大会でのワンシーン

「(遭遇したクラスメイトに「みんなで一緒に見よう」と誘われて)天と二人がいい」という龍司の言葉に心揺さぶられつつも、何とか理性を抑えようとする表情は、どんな疲労回復薬よりも効果がある気がします

第9話(単行本2巻138ページ)

2023年10月には日向亘さんと大倉空人さん(『原因は自分にある。』)主演でドラマ化もしていますので、そちらも合わせてチェックしてみてくださいね!

<作品情報>
作品名:『君となら恋をしてみても
作者:窪田マル
レーベル:花丸コミックス・プレミアム
出版社:白泉社

④男子高生の純度100%青春BL『恋人がウブすぎて困る』作:広田

©広田/KADOKAWA

ある日突然クラスの陽キャ・日山に告白された、地味な主人公・長谷川。会話もまともにしたことがない二人の交際スタートは、まさかの交換日記!

「アイス食べに行こう」と放課後デートのお誘いをしたり、「夏休みに二人でしたいことリスト」を書き込んだり……。

二人の間に流れるほんわかした空気感に癒されながら、あまりにもピュアすぎる恋愛に思わずニンマリ笑顔になってしまう作品です!

第1話(単行本9ページ)

BL作品では比較的珍しい、攻め(日山)の泣き顔を拝めることができるのも特徴の一つ。

第5話(単行本73ページ)

恋を知らないがゆえに無自覚に傷つけてしまう長谷川と、そんな長谷川を好きすぎるあまり傷つきやすくなってしまう日山。

ウブな二人の純度100%な会話はもちろんのこと、普段は澄ました表情の陽キャライケメン・日山が浮かべる美しい涙は、多忙な日々に汚染されてしまった私たちの心を浄化してくれますよ。

私が今まで読んだ中では、これ以上に初々しくて癒やされるBLは無いと言っても過言ではありません。ちょっとしたイチャイチャはあるもののベッドシーンは無いので、ウブな二人にとにかく癒されたい方には特におすすめです。

<作品情報>
作品名:『恋人がウブすぎて困る
作者:広田
レーベル:MFコミックス ジーンシリーズ
出版社:KADOKAWA

⑤大人のモフモフラブストーリー『しっぽの恋』作:土田はる

©土田はる/幻冬舎コミックス

ブラック企業に勤める主人公・犬養は、ある日立ち寄ったペットショップで出会った癒やし系店員の星と出会い、「犬と暮らす生活」を目指して転職を決意。

そんなある日突然、星から「僕、昔あなたに助けられた犬です!」と告白されたことで“モフモフなラブストーリー”が始まる……というちょっと不思議なお話です。

何といっても、小型犬のように無邪気で純朴な星がたまらなくかわいいこの作品

過去に助けてもらった(?)犬養への恩返しとして毎日食事を作る姿はもちろんのこと、犬養の愛犬「わたあめ」とかわいらしく会話する姿はヒーリング効果絶大。

第3話(単行本74ページ)

ちょっぴり不思議ちゃんな一面がありつつも、仕事に追われてメンタルが落ち込んでしまっている犬養を欠かさず慰めるような、包容力も兼ね備えている星。

わたあめが体調を崩してしまったのを自分のせいにする犬養に対して、「犬養さんが頑張っていたの、僕知ってます」と伝える瞳は直視できないほど美しく、心が荒んでいる時にはぜひ読んでほしいシーンです。

第3話(単行本151ページ)

ベッドシーンはありますが、比較的ライトな表現でほんわかした雰囲気で描写されているので、まるで子犬のじゃれあいを見ているかのような温かい気持ちになれます。

「二人が結ばれるところまで見届けたいけど、過激な表現にやや抵抗がある」という方でも、最後まで癒されながら読むことができるのでおすすめです。

<作品情報>
作品名:『しっぽの恋
作者:土田はる
レーベル:バーズコミックス ラブキスボーイズコレクション
出版社:幻冬舎コミックス

忙しい毎日のお供に「癒やし系BL」を!

普段はあまりBL作品に触れない方の中には、何となく読むことに抵抗感を覚えてしまう人もいるかもしれません。

ですが、今回紹介した5つの作品は、登場人物やストーリーはもちろんのこと、単行本の装丁・デザインなど至るところまで「癒やし」を与えてくれるものばかり。

ぜひ忙しい日々を生き抜くお供にしてみてはいかがでしょうか?

(執筆:柴田捺美)

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