令和5年度くらしきボランティア大会(2024年2月25日開催)参加レポート ~ トークに体験に相談会、その場でボランティア登録までフルコースで堪能できる毎年恒例のイベント

211団体のべ5,250人

これは、2024年2月時点で倉敷ボランティアセンターに登録をしているボランティアの数です。

本記事では、倉敷市内のボランティア同士のつながりをさらに深め、新たな仲間にボランティアのイマを知ってもらうためのイベント「令和5年度くらしきボランティア大会」のようすをレポートします。

令和5年度くらしきボランティア大会

2024年2月25日に、倉敷市笹沖にあるくらしき健康福祉プラザにて「令和5年度ボランティア大会」が開催されました。

主催者は、倉敷市社会福祉協議会です。

倉敷市社会福祉協議会 提供

倉敷市社会福祉協議会のボランティアセンターは、倉敷市のボランティアの中核的なセンターです。普段はボランティアの紹介やマッチング(調整)だけでなく、養成もおこなっています。

当日は、前半にプラザホールにてトークセッション、後半は社会福祉協議会のある3階フロアで交流会が開催されました。交流会は以下8つのブースが出展しました。

  • 点字体験
  • 音訳体験
  • 要約筆記体験
  • 手話体験
  • 福祉の店「あゆみ」
  • 地域の支え合いマッチングコーナー
  • ボランティアの相談・登録
  • いきいきポイント制度なんでも相談会

当日はあいにくの雨でしたが、ゴミ拾いボランティアが雨天中止になって急遽参加する人もいたようで、プラザホールには続々と参加者が集まってきました。

年齢層も未就学の子どもからご年配のかたまで幅広く、現在ボランティア活動をしている人たちやこれからボランティア活動を始めたい人などさまざまな立場の人がいました。

受付で、この日使うスタンプラリー台紙を受け取った人からプラザホールに入ります。

ボランティアの現場を間近で感じられる会場

開場には、大きなスクリーンが2つ並んでいます。

真ん中のスクリーンは、会の進行で使用されるものです。

ステージ向かって左側にあるスクリーンは、要約筆記の打ち込んだ情報を写すために設置されています。

また、要約筆記用のスクリーンの横には黒いスーツの女性が立っています。このかたは、手話通訳者です。

このように、聴覚障がいがあっても聴者(耳のきこえる人)と同じようにトークセッションを楽しめる環境が用意されていました。

手話通訳者の目の前にろう者(手話を自分の言語とする聴覚障がい者)が座っていたため、通訳者はろう者のうなずきなどの反応を見ながら通訳を進めていきます。

一方、私は聴覚障がいがあるので日常生活で手話も使用しますが、今回は会場のようすの写真を撮りながら参加していたため、手話通訳者をずっと見ているわけではありませんでした。聴者(きこえる人)は聞きながら写真を撮影できますが、私たち聴覚障がい者にはそれができません。

しかし、要約筆記があることで一定時間スクリーンに文字情報が残るため、情報をきき洩らす心配がありません。おかげで、本レポート執筆のための撮影に集中しつつトークセッションの内容も把握できました。

総務省の調査によると、聴覚障がい者のうち手話を使用する人は15.6%

つまり、聴覚障がい者の8割以上が手話だけでなく文字での情報保障を必要としています。

ほかにも、発達障がい者や知的障がい者のなかにも音声情報よりも視覚情報のほうが理解しやすい特性の人もいます。

トークセッションを通して実際にボランティアをしている人とボランティアを受ける人を間近に見られることは、ボランティア大会ならではの醍醐味だと感じました。

フロアと共に盛り上がったトークセッション

プログラム前半は「ボランティアの今を語り合おう!!~自分のしたいをカタチに~」をテーマとしたトークセッション。

いきいきポイント制度に登録しているボランティア受け入れ施設の社会福祉法人ますみ会クムレの担当者がステージにあがり、フロアにいる参加者と対話型のセッションで盛り上がりました。

いきいきポイント制度

介護保険施設などでボランティア活動をおこない、その実績に応じてたまったポイントを交付金として受け取れる倉敷市独自の仕組み

フロアからは、ボランティアをして良かったこととして以下のような意見があがりました。

  • 仕事や年齢の違う人との人間関係が広がった
  • ボランティア活動を通じて自分が元気になれた
  • 将来の役に立つと思った(学生)
  • 新しい世界を知れる生涯学習になった

また、会場から出た

「ボランティアをしていくなかで、もっとやりたい活動が出てきたときはどうすれば良いか」

という質問に受け入れ団体の2施設から、以下のような回答がありました。

  • ボランティアからの働きかけは、受け入れ側としてもうれしい。一緒に活動を作っていきたい
  • 負担が大きいときも、個人に合わせて別の活動をお願いもできる。お互いが活動しやすいようにコミュニケーションを取りながら活動をしていきたい

フロアの参加者も高齢者福祉や児童福祉、ゴミ拾いなどさまざまな分野で活動している人がいて、それぞれの立場の話を知られる有意義な時間になりました。

ステージパフォーマンス

トークセッション後は、ステージパフォーマンスです。

この日は、倉敷市内でレクリエーションボランティアをするキッズダンスグループAC☆Famが、ダンスを披露しました。

普段は、高齢者施設などでダンスパフォーマンスをしているそうです。パフォーマンスを鑑賞した施設の利用者が、にっこり笑顔になるようすがイメージできるかわいらしいダンスでした。

交流会

後半は、3階フロアで交流会が開催されました。交流会では、スタンプラリーをしながら各ブースを訪ねて、実際にボランティア体験をしたり相談会に参加したりします。

私もスタンプラリー用紙を片手に、各コーナーをまわりました。

点字体験

点字は、視覚障がい者の文字です。

こちらのコーナーでは、実際に点字用の紙を点字機に挟んで、点筆で点字を打つ体験をしていました。

点字を打つための用紙は、点字を打ったときに破れてしまわないようにコピー用紙などと比べて固く、厚い紙でできています。

私は大学時代に視覚支援学校の免許を取るために点字の勉強をしたことがあったので、久しぶりに点筆を握りました。

点訳ボランティアでは、おもに倉敷市の広報誌などの点訳をされているそうです。

音訳体験

音訳(おんやく)は、視覚障がい者が文字を読むためのボランティアです。

読む人によって声質やスピードが違うため、視覚障がい者のなかでも耳にすんなりと入ってくる声は千差万別なのだとか。そのため、同じ読み物でも多くの朗読データがあることで当事者の選択肢が広がるそうです。

なお、視覚障がい者の点字の識字率は約10%から情報を得ている視覚障がい者が多いので、朗読ボランティアも大切な活動です。

要約筆記体験

トークセッションではパソコンでの要約筆記がおこなわれていましたが、体験コーナーでは手書きの要約筆記体験ができました。

私も学生時代に要約筆記ボランティアを利用して講義を受けていました。

一般的な講義はパソコン要約筆記が適していますが、数学のような数式や記号を多用する講義や外国語の講義では手書きが適していたので、慣れ親しんだボランティアのひとつです。久しぶりに見る機械に懐かしさを覚えました。

このコーナーでは、たまたま聴覚障がいのある参加者と会ったので「こんな場面で使ったことがあるよ」と盛り上がりました。

手話体験

手話は、聴覚障がい者の言語です。

体験コーナーでは、挨拶や自己紹介の手話を紹介していました。

担当しているのは、くらしき健康福祉プラザで活動している手話サークル「草の会」です。

ろう者(聴覚障がいのある当事者)も参加していたので、実際に手話を使う人と生のコミュニケーションが取れる環境となっていました。

ふくしの店あゆみ

ふくしの店あゆみは、倉敷市内の心身障がい者施設で作られたお菓子の販売をしています。

多くの焼き菓子があって、私もお土産に数点購入しました。

どのお菓子も形がきれいで、味もしっかりとしていました。

普段は、イオンモール倉敷の店舗で販売されているそうです。今回は焼き菓子のみの販売ですが、店舗では手作りの雑貨も取り扱っているのだとか。種類が豊富らしいので、今度は店舗にも行ってみたいと思います。

地域の支え合いマッチングコーナー

こちらでは、地域で活動されている団体の紹介パンフレットやくらしき互近助(ごきんじょ)パントリーの見本などが置いてありました。

くらしき互近助パントリープロジェクトは、賞味期限の近い食材などを集めて必要とする地域に届けるプロジェクトです。

ボランティアに興味はあるけれども、いきなり知らないコミュニティに入るのには不安という人も個人で気軽に始められるボランティアのひとつです。

ボランティアの相談・登録

ボランティア大会に来てやる気になったら、その場でボランティア登録ができます。

この日も、ほとんど途切れることなく受付に人が来て登録をしていました。

どのようなボランティアを始められるのでしょうか。

受付をした職員も「仲間が増えてうれしい」と喜んでいました。

いきいきポイント制度なんでも相談会

いきいきポイント制度の利用対象は、要介護認定を受けていない満40歳以上の倉敷市民。

私はまだ年齢に達していないので相談会には参加しませんでしたが、スタンプラリーのゴールがこちらだったので、部屋に入ってみました。

スタンプラリーを終えて景品交換をしている参加者

倉敷駅周辺だけでなく、真備や玉島、児島などの各地域のいきいきポイント制度に登録している受け入れ団体が多数来ていたので、自分が通いやすい施設の担当者と直接話をして盛り上がる参加者の姿もありました。

おわりに

ボランティアをしたい人・している人・受け入れている人が一堂に会した、くらしきボランティア大会。

参加者もスタッフもみな笑顔で、多くの元気をもらって家路につきました。

倉敷市社会福祉協議会倉敷ボランティアセンターでは、随時ボランティアを募集しています。

新たな趣味や生きがいづくりに、ボランティアはいかがでしょうか。

© 一般社団法人はれとこ