豪、中国首相の年内訪問準備へ 外相会談で関税など協議

Kirsty Needham Renju Jose

[シドニー 20日 ロイター] - オーストラリアのウォン外相は20日、中国の李強首相による年内の豪州訪問に向けて両国が準備すると明らかにした。王毅外相とキャンベラで会談後に述べた。会談では人権や関税、地域の安全保障について協議したという。中国外相の訪豪は2017年以来。

ウォン氏は会談の冒頭で「中国で拘束されている豪市民、人権、海洋安全保障、太平洋やロシアのウクライナ侵攻、中東の紛争など地域および世界的な問題について率直な話し合いを楽しみにしている」と述べた。

会談後の記者会見では、李首相の訪豪に向けて両国が取り組むとし、相互理解を深めるため対面外交の重要性を強調した。

また、両国が太平洋や気候・エネルギー協力に関する対話を深めると述べた。

「海上での危険な行為に対し深刻な懸念を示すとともに、台湾海峡や地域の平和と安定を望むと表明した」とし、南シナ海での中国海軍との摩擦に言及した。

中国の豪州産品への関税については、ワインの関税を撤廃する暫定案が示されたが、牛肉やロブスターも撤廃も望むとした。ニッケル市場の変動についても話し合ったと明らかにした。

中国外務省の声明によると、王氏は豪州が市場経済の原則を守り、中国企業に差別的でないビジネス環境を提供するため実際的な措置を取ることを望むと述べた。

中豪関係は正しい軌道にあり、後戻りすべきでないとしたほか、独立性が必要とも指摘。豪州の外交政策が米国との戦略的同盟関係に支配されているという中国の見解に言及したものとみられる。

王氏はさらに、相互尊重を堅持し、相違があっても共通点を追求し続けることなどの重要性も強調した。

王氏はアルバニージー首相とも会談するほか、企業、大学、シンクタンクの代表者らと非公開会合を開く。親中国派のキーティング元首相とも会談する。キーティング氏は米英豪3カ国の安全保障枠組み「AUKUS」の下で原子力潜水艦を導入する計画を批判している。

© ロイター