児童手当「早生まれが不利」なのはなぜ?2024年からの変更点とは

早生まれが不利になるのは児童手当だけじゃなく「扶養控除」でも

児童手当は、子どもの養育者に対して国から支給されるものですが、生まれた月によって児童手当の総支給額に差が生じることから「早生まれは不利」ともいわれています。

本記事では、生まれた月によって受け取れる児童手当にどのくらいの差が生じるのか、なぜ差が生じてしまうのかについて詳しく解説していきます。

「現行の児童手当」と「2024年からの新たな児童手当の変更点」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

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現行の児童手当についておさらい

まずは、現行の児童手当の制度についておさらいしておきましょう。

冒頭でもお伝えしたように、児童手当は子どもを養育している保護者に対して支払われる給付金であり、受給額は年齢ごとに異なります。

児童手当の一人あたり月額

ただし児童手当には、養育している保護者の所得が一定以上を超えると支給額が減額となる「所得制限」と、児童手当が受け取れなくなる「所得上限」が設けられています。

児童手当の「所得制限」と「所得上限」

児童手当を受け取るためには、住んでいる市町村に申請する必要があり、自動的に受け取れるわけではないため留意しておきましょう。

申請をした場合、申請の次の月分から支給されるため、4月に子どもが生まれた場合は翌月の5月分(0歳1ヶ月)から受給が可能となります。

もし申請が遅れたとしても、さかのぼって申請することは難しいため、申請忘れのないようになるべく早く申請の手続きを行えると良いです。

2024年からの児童手当の変更点

政府は異次元の少子化対策として、児童手当の拡充を発表しており2024年から、児童手当の支給額や支給対象が変更となります。

具体的な変更内容としては下記の内容が挙げられます。

  • 第3子以降の給付額の増額(1万5000円から3万円へ)
  • 給付対象を高校生まで拡大(月1万円の支給)
  • 所得制限の撤廃

上記の新たな方針により、児童手当の対象がより広がる見込みとなっており、子育て世帯にとっては手厚い支援になるといえます。

児童手当「早生まれが不利」なのはなぜ?

児童手当は基本的にすべての子どもを対象に年齢に応じて一律の額が支給されますが、「早生まれが不利」と言われるのはなぜなのでしょうか。

現行の児童手当が支給される最終の区切りは中学3年生(15歳の誕生日の最初の3月31日まで)となっています。

そのため、同じ年に生まれても早生まれ(1月1日〜4月1日)と遅生まれ(4月2日〜12月31日)の人とでは、児童手当の支給総額が最大で11万円も変わってくるのです。

さらに、2024年からは高校生まで支給対象が拡大しただけでなく、第3子以降の支給額の増額もされることから、より児童手当の支給総額に差が生じると予想されます。

上記のことから、「早生まれは受け取れる児童手当が少ない」とされ、不利と感じる人が多くなっているのです。

早生まれが不利になるのは児童手当だけじゃない?

早生まれが不利になるのは児童手当だけでなく、「扶養控除」でも不利になるケースがあります。

扶養控除とは、納税者に「控除対象扶養親族」となる人がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる控除を指します。

ここでいう「控除対象扶養親族」は、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人が該当し、該当者がいる場合は「年間38万円」の扶養控除が受けられます。

この際に留意しておきたい点として、遅生まれの場合は高校1年生の12月31日の時点で16歳ですが、早生まれの場合は同時期にはまだ15歳です。

つまり、遅生まれの世帯はその年に扶養控除が受けられますが、早生まれの世帯の場合はその年の扶養控除が受けられないケースが出てくるのです。

とはいえ、2024年より児童手当の支給対象を高校生まで拡大することから、所得税や住民税などの扶養控除を縮小する方針を固めています。

これにより、早生まれ・遅生まれの控除額の差は縮まりますが、どちらにせよ扶養控除の縮小となれば、どの子育て世帯においても税負担は大きくなるとうかがえます。

必ずしも「早生まれが不利」とは限らない

本記事では、生まれた月によって受け取れる児童手当にどのくらいの差が生じるのか、なぜ差が生じてしまうのかについて詳しく解説していきました。

早生まれであることによって、児童手当や扶養控除などで不利になるケースが多いですが、必ずしも早生まれが不利とは限りません。

仮に高校卒業と同時に自立をする場合、遅生まれのほうが早生まれよりも最大で11ヶ月も養育費が変わります。

上記を考慮すると、「早生まれが不利」とは一概にはいえないといえるでしょう。

参考資料

  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
  • こども未来戦略会議「「こども未来戦略方針」案~次元の異なる少子化対策の実現のための「こども未来戦略」の策定に向けて~」
  • 国税庁「No.1180 扶養控除」

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