高層マンション「計画通り」 松江市長、景観計画の高さ基準改定へ

景観審議会の委員(手前)と意見を交わす上定昭仁市長(中央奥)=松江市白潟本町、市民活動センター

 松江城に近い松江市殿町に建設される高層マンション(高さ57メートル、19階建て)の景観審議会のやり直しを委員12人のうち9人が求めたことを受け上定昭仁市長と委員らが19日、意見交換した。上定市長は審議会を再度開く考えはなく「マンションは(計画通り)建設される見通しだ」と述べた。現行の景観計画の建築物の高さ基準を見直して25年4月に改定する方針も示した。

 市内であった意見交換会には再審を求めた6人を含む委員8人が出席。委員から「結局、マンションは建設されるのか」と問われた上定市長は、建物の高さの引き下げについて事業者と今後も交渉を続けるとしつつも「現行の法律では規制できない」と説明した。

 現行の景観計画は、高層ビルなどを建てる際に松江城などの眺望を守ることを重視しており、建物の高さは一部を除いて明確な基準がなかった。このため、曖昧な高さ基準を25年4月にいったん改定するスケジュールを示した。全体計画は26年度をめどに見直す。都市計画法に基づき実質的な高さ制限がない「商業地域」の松江城周辺を、高さ制限のある区域に指定することにも取り組む。こちらは、完了時期を26年4月とした。

 委員の一人でNPO法人まつえ・まちづくり塾の金坂浩史副代表は終了後「市と共に景観を守る方法を模索したい」と話した。景観審議会の会長で島根大総合理工学部の千代章一郎教授は「現行の基準は時代に合わなくなっていた。大きな転換期だと考え、市と審議会で制度の改定に取り組みたい」とした。

 マンション建設を巡っては昨年10月、景観計画で定める「天守から見える東西南北の山の稜線(りょうせん)の眺望を妨げない」とする高さ基準を満たすと景観審議会が判断。一方、周辺の街並みと建物の高さの調和について十分な審議ができていないとして今年2月、委員ら9人が再審を求める要望書を市に提出していた。

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