「6~10年」を5年で…アカミミガメの食害で「全滅」の古代蓮再生へ 川越・伊佐沼、新芽移植前に囲い作り

強風の中、沼床で囲い作りをする会員たち=9日、埼玉県川越市の伊佐沼

 昨年、古代ハスが全滅し、花が咲かなかった埼玉県川越市の伊佐沼で9日、特定外来生物のアカミミガメの捕食から新芽を守るための囲い作りが行われた。「伊佐沼の蓮を咲かそう会」=原田秀一会長(72)=が、川越市と協議し、4月上旬の新芽移植を前に実施。会員ら22人が参加した。

 同沼は農業用水のため、田んぼの稲刈りが終わると沼の水が抜かれ、田植えの準備が始まる春先までほぼ水のない状態が続く。当日は沼床を整地し、横5.4メートル、幅9メートル、高さ1.5メートルのパイプの柵にネットを張った囲いを設置した。

 同会は今季、200粒ほどのハスの種を会員が手分けして自宅で生育。来月第1週、囲いの中に芽を移植することにしている。

 同会によると、ゼロからのスタートとなったため元のように花が咲くには6年から10年近くかかるという。会員の三上貢さん(72)は「試行錯誤を繰り返しながら改良を重ねてきた実績がある。蓄積したデータを参考に5年ほどで今までのような見事なハスの花を咲かせたい」と力説。米沢仁さん(72)は「アカミミガメはハスの新芽から出る樹液を好んで食べるようだ。囲いを作ったことでハスが食べられることはなくなるだろう」と笑顔で話した。

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