「こんなスランプを経験したことがなかった」球宴後ショット不振のハリバートンが自身を鼓舞「良くなってみせる。自分にかかっているんだ」<DUNKSHOOT>

今季、4シーズンぶりのプレーオフ進出を狙うインディアナ・ペイサーズは、オールスターブレイク後は7勝6敗。3月19日(日本時間20日、日付は以下同)を終えた時点でイースタン・カンファレンス7位の38勝31敗(勝率55.1%)でプレーイン・トーナメント進出圏内にいる。

ただ、スコアリングガードのベネディクト・マサリンが肩の手術で今季絶望、シューターのダグ・マクダーモットもふくらはぎを痛めて戦線離脱とベストメンバーではなく、18日のクリーブランド・キャバリアーズ戦は103-108で敗れた。

それでも11位のブルックリン・ネッツ(26勝43敗/勝率37.7%)とは12.0ゲーム差。ここから大型連敗でもしない限り、イースト10位以内でレギュラーシーズンを終え、プレーイン(4月16日~19日)には参戦できる位置にいる。

だが気がかりなのはタイリース・ハリバートンの不振だ。2月に地元インディアナポリスで開催されたオールスターゲームでイーストの先発ガードを務め、32得点、7リバウンド、6アシストの活躍を披露した24歳のポイントガードは、球宴後に調子を落としている。

オールスター前までは平均21.8点、11.7アシスト、フィールドゴール成功率49.2%、3ポイント成功率40.0%をマークしていたが、その後は平均15.8点、9.8アシスト、フィールドゴール成功率41.7%、3ポイント成功率21.3%にダウン。

特に3月は2戦連続で3ポイントを6本放って成功ゼロに終わるなど、フィールドゴール成功率39.8%、3ポイントに至っては16.9%(11/65)と絶不調。キャブズ戦後の会見で、ハリバートンは自身の不調についてこう口にしていた。
「いいプレーをして勝つこと。そのために、僕は今ここから抜け出そうとしている。もちろんイライラしているし、これまでの人生でこんなスランプを経験したことがなかった。だから、僕はもっと良くなっていかなきゃいけない。前へ進んでいくよ。僕がダメなら、このチームの誰かが立ち上がることになる。けど僕は良くなってみせる。自分にかかっているんだ」

ペイサーズのリック・カーライルHC(ヘッドコーチ)は「我々はポジティブでいないといけない。自分たちが今プレーしている今の状態よりも、もっとハングリーにならなければいけないんだ」とチームに警鐘を鳴らしている。

ペイサーズは20日のデトロイト・ピストンズ戦を皮切りに、アウェー5連戦が組まれている。今季はアウェーでも17勝16敗で勝ち越しているとはいえ、ピストンズ戦以降の相手は、ウエスタン・カンファレンスでプレーインのスポット争いをしているゴールデンステイト・ウォリアーズ(22日)とロサンゼルス・レイカーズ(24日)、ウエスト上位のロサンゼルス・クリッパーズ(25日)、27日にはイースト9位のシカゴ・ブルズ(34勝35敗/勝率49.3%)と難敵ばかり。

そのため、ハリバートンは「みんなを正しいポジション、適切なスポットへ導き、いいショットをもたらすには自分が起点になっていく。そう、この僕から始まっていくんだ。だからこそ、僕がもっといいプレーをしないといけない」と気を引き締めていた。

パスカル・シアカムやマイルズ・ターナー、アーロン・ネスミスといったチームメイトの能力を最大限に生かし、破壊力満点のオフェンスを再び取り戻すためには、やはりエースガードの復調が必須と言えるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社