好きな人の第二ボタンなぜもらう?ブレザー増加のワケは? 学校制服に関する疑問を聞いてみた【みんなのハテナ】

皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。4月の入学シーズンが近づき準備を進めている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は学校制服に関するハテナです。

「制服が定着したのはいつ?」(香川・琴平町 ロムさん 60歳)

この疑問について、制服や体操着などの大手メーカー・菅公学生服に聞きました。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「一番最初が学習院がいまの詰襟(学ラン)に非常に近いものを採用したのが制服のスタートではないかと言われている。それが明治12年」

ただ、その後すぐに制服が一般的に広まったわけではないようです。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「一般的に多くの方たちが着用できるようになってきた、それが大正の終わりくらい。今の制服はポリエステルやウールで作られているんですけど、昔は綿で作っていた」

菅公学生服によると綿で安定して安く製造できるようになったことで大正時代の終わりごろに制服が広まったということです。

登場した当初主流だったのは、学ランとセーラー服。これらはそれぞれ陸軍と海軍の軍服が由来とされています。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「学校の中でも規律を持ってやるためには制服があった方がいいのではないか(という動き)」

その制服も徐々に変わりブレザーなども登場します。

そんな中で次の疑問……。

「学ランとブレザーの比率は?」(倉敷市 masaさん 59歳)

菅公学生服が中学生の時に着ていた制服を男女別、年代別にまとめた調査によると、男性はどの年代においても最も多いのが「学ラン」。ただ徐々に「ブレザー」が増え、20代では30%ほどになっています。

女性はすべての世代で「セーラー服」が最も多くなりました。それでも若い世代ほど「ブレザー」が増え、10代では、セーラー服とほぼ同じくらいになっています。

この「ブレザー」が増えたことには教育現場の悩みがあったそうです。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「ツッパリ学生服というか変形学生服という短ランとか長ランとかボンタンとかが流行った。学校としては収拾がつかなくなるので変形服をさせないためにはどうするかというと、ブレザーを導入すれば変形ができなくなるので。こういうジャケットで丈が短いとか多分変だし、長いのも変だしってことでやらなくなるだろう、と」

ブレザーを採用する学校が多い理由はほかにも。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「学ランは特色出ようがないですよね。ボタンとバッジ以外やりようがないので。ブレザーはジャケットの色を変えられるし、ネクタイもリボンも変えられるし、スカートもスラックスの柄も全部変えられるので、当然(学校の)特色としてはブレザーの方が出しやすい」

ちなみに制服と言えば……卒業式の後に「好きな人の第二ボタンをもらった」という思い出がある人もいるはず。

ではなぜ第二ボタンなのでしょうか。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「自分の心臓に一番近い場所にあるボタンなのでハート(想い)を渡すことができるということで第二なんじゃないかというのが一番ですね。(Q.まさか第二ボタンは特殊な素材だったりということは?)ないです。一切関係ありません(笑)」

「最新の制服は?」(坂出市 けいちょすさん 44歳)

岡山南高校では、「女子用」のスラックスが認められるなど、最近では制服のジェンダーレスが進んでいます。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「特に中学校で制服を変えようとしている学校はほぼ条件に入ってくる。この多様性に対応できるものというのは必ず入ってくる」

具体的にどんなポイントがあるのでしょうか。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「上着の色もそうですしスラックスやスカートの柄も同じものを使うのが非常に増えている。あとこの『前合わせ』ってありますよね。男の人は左側が前女の人は右側が前になっているとかいろいろありますが、これを左右を変えられる制服もあります」

どういうことかというとブレザーのボタンに学ランに使われるような「取り外しが可能なもの」を採用することで、裁縫をしなくても留め具1つで左右どちらにも付けられます。

ジェンダーレスの観点のほか、利き手に合わせた調整ができるのも強みだそうです。

ジェンダーレスの取り組みはほかにも……。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「元々のブレザーって男の子はネクタイ女の子はリボンが多かった。これもネクタイとネクタイにすることによって識別区別がなくなるようにした」

ズバリ、今後の制服はどう変わっていくのでしょうか。

(菅公学生服 企画推進部/吉川淳稔 部長)
「制服の中でも『自分らしさ』をどう表現するかということにこれからの制服は変わっていくと思います。今までのように『これしかダメ』ではなくて、もっと選べたりとか、自分で変形させるのではなくカスタマイズできるとか、学校に行くのが楽しくなるような制服になっていくのではないかと思う」

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