運転免許返納、迷う高齢者 岩手県内2023年、直近5年間で最少

STモータースクール北校の高齢者講習を受ける住民。年間約2千人が受講し、増加傾向にある=滝沢市巣子

 岩手県内で高齢者の運転免許返納が鈍化している。2023年の自主返納は3631件(前年比647件減)で、直近5年間では最少となった。東京・池袋で19年に乗用車暴走事故が起き急増したが、交通手段の乏しい地域で返納をためらう高齢ドライバーは少なくない。一方、免許人口のうち65歳以上の割合は上昇し、事故で加害者となるケースが多い傾向だ。識者は交通網の利便性向上を促す。

 滝沢市巣子のSTモータースクール北校(仲谷千春管理者)。高齢者講習には年間約2千人が訪れ、増加傾向にある。認知機能検査、運転技能を見る実車講習、動体視力や視野を調べる検査などを行う。

 免許更新のため受講した、盛岡市松園の寺内信行さん(81)は、買い物や通院などでほぼ毎日運転する。「自宅周辺は坂が多く、買い物の後は荷物が重くて歩けない。バスだと不便で、まだ免許は手放せない」と打ち明けた。

© 株式会社岩手日報社