特措法の「線引き」の正当性が争点に 水俣病国賠訴訟、熊本地裁であす判決

 水俣病特別措置法の救済から外れた鹿児島、熊本両県の144人が国と熊本県、原因企業チッソに1人450万円の損害賠償を求めた集団訴訟(熊本訴訟)で、熊本地裁が22日に判決を言い渡す。地域や年齢で救済対象者を「線引き」をした特措法の枠組みを否定し、原告全員を水俣病と認めた昨年の大阪地裁判決に続くのか。「最終解決」をうたった特措法の正当性が問われる。

 特措法は2009年施行。公害健康被害補償法で患者認定されなくても、感覚障害といった一定の症状がある被害者に一時金などを支給し、約3万8000人が救済された。

 救済にはメチル水銀が排出され、患者が多数確認された不知火海(八代海)沿岸の居住歴などを要件とし、1万人近くが非該当になった。鹿児島側では旧長島町や阿久根市の一部などが対象地域から外れた。

 熊本訴訟の原告は51~100歳の男女1400人で、うち半数以上が鹿児島県在住。14陣までに1600人余りが提訴し、246人が亡くなった。

 今回判決が言い渡される1、2陣の144人のうち7割を対象地域外の出身者が占める。地域外でもメチル水銀に暴露したと主張するが、国側は発症するほどの暴露はないと反論。疫学的研究を用いて水俣病の罹患(りかん)を判断できるかどうかや、水銀摂取から発症までの期間、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)の適用なども争っている。

 特措法を巡る初の司法判断となった昨年9月の大阪地裁判決は「対象地域外でも不知火海の魚介類を継続的に多食した場合は、発症しうる程度に水銀を摂取したと推認するのが合理的」とした。

水俣病集団訴訟の主な争点をまとめた表

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