共産党が公認候補を取り下げ、衆院3補選で唯一、事実上の与野党一騎打ちとなる見込みの島根1区補選。4月16日の告示まで1カ月を切る中、自民、立憲民主両党の幹事長が20日、島根入りし、前哨戦で火花を散らした。
自民の茂木敏充幹事長は松江市内であった自民新人の事務所開き式典に出席。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る「政治とカネ」の問題に触れ、「国民の批判が寄せられている。心からおわびを申し上げる」と謝罪した上で「新しい自民党を作っていく」と訴えた。
17日の党大会で決まった党運営の指針「ガバナンスコード」の改訂や、党幹部が全国47都道府県を訪ねて党員らと対話する取り組みを「党が変わる第1弾」と述べ、「現場や地方の声を聴き、改革に反映する」と説明した。
物価高や人口減少などを挙げ、「内外の課題に取り組むには政権基盤の安定が必要で、国民の信頼回復が必要だ。補選で党の基盤を確かなものにし、党の再生、日本の再生を果たしていく」と強調。選挙戦に向けては「楽な選挙ではない。一票を削り出し、議席を死守する」と支持拡大を求めた。
一方、立民の岡田克也幹事長は2月に続いて島根入りし、雲南市内で立民元職とともに地域住民との集会に参加。裏金事件を巡る自民国会議員の衆参政治倫理審査会に触れ、「口裏を合わせたように『関係ない』『知らない』との発言ばかり。日本の政治は任せることができない」と批判した。
党として、議員の罰則強化や政治資金収支報告書のデジタル化、政策活動費の廃止の実現に取り組む考えを示し、「国民の疑念を解決しないと、政治が信頼されなくなる」と訴えた。
終了後、記者団の取材に対し、候補を取り下げた共産との連携に関して「自主支援していただくのはありがたい。(連合からも)異論があるとは聞いていない」と説明。選挙戦に向けては「(自民は)島根だけは勝たないといけないと思っているだろう。私たちも島根で絶対勝つ。3補選の中で天王山で、象徴的な選挙区だ」と強調した。