『ドラゴンズドグマ2』に抱いた“2つの不安”は、実際に遊んだら払拭されたのか? 前作ファンの視点で10年越しの続編に挑む【プレイレポ】

『ドラゴンズドグマ2』に抱いた“2つの不安”は、実際に遊んだら払拭されたのか? 前作ファンの視点で10年越しの続編に挑む【プレイレポ】

オープンワールドを舞台とするアクションRPG『ドラゴンズドグマ2』が、3月22日に待望の発売日を迎えます。シリーズ初のナンバリング続編に、大きな期待を寄せているファンも多いことでしょう。

筆者も本シリーズの最新作を待ち続け、『ドラゴンズドグマ2』の発表に歓喜したファンのひとり。首を長くして待っていた新たな展開を、心の底から喜んだものです。

ですが一方で、いくつかの不安が過ぎったのも事実。「果たしてどんな作品になるのか」という想いは、もちろん期待に満ちたポジティブな意味が大半ですが、わずかな心配も同時に湧き上がっていました。

そんな気持ちを抱いていたところ、幸運にも発売に先駆けて『ドラゴンズドグマ2』をプレイする機会に恵まれました。そこで前作を楽しんだユーザーのひとりとして、プレイ前に抱えていた“不安”に迫る先行プレイ体験をお届けします。

『ドラゴンズドグマ2』がどんな作品なのか、率直な実感とともにお伝えしますが、プレイする楽しみを奪わぬよう物語面のネタバレは控えてお届けします。なお本記事は、25時間ほどプレイした体験に基づくレポートとなります。また、プレイしたハードはPS5です。

■前作『ドラゴンズドグマ』の功績と、そこから生まれた“不安”

ナンバリング上の前作にあたる『ドラゴンズドグマ』は、2012年5月に発売されました。当時はまだ、国産のオープンワールド・アクションRPG自体が少なめ。また海外産を含め、アクション系オープンワールド作品のバトルは現在と比べるとシンプルで、あっさりした内容のものがほとんどでした。

『ドラゴンズドグマ』は、そうした状況へ果敢に切り込んだ、非常に意欲的な作品として注目を集めます。開発・発売を手がけたのは、数々のアクションゲームを手がけ、高く評価されているカプコン。その持ち味を活かし、オープンワールドながら戦いがいのあるアクションバトルを採用し、ゲームファンを驚かせます。

「オープンワールドな上に、バトルが面白い!」という魅力は、個人的にも非常に光り輝いており、クリアするまで止まらず没頭する原動力のひとつになりました。また、巨大なダンジョンを追加した『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』(2013年4月発売)でも、手応え満点のバトルを引き続き楽しんだものです。

そんな前作の登場から、約10年もの時間が経ちました。『ドラゴンズドグマ クエスト』や『ドラゴンズドグマ オンライン』といった関連作が登場したものの、「シングルプレイ」「戦闘がアクション」「オープンワールド」「買い切り」といった1作目と同じフォーマットの作品は、この『ドラゴンズドグマ2』がシリーズ初となります。

当時感じた「オープンワールドなのに、バトルが楽しい!」という驚きは、『ドラゴンズドグマ』が持つ革新性の証でもありました。しかし10年経った今、アクション性の高いオープンワールド作品は増え、名作と呼ばれるゲームも多数存在します。

そんな時代に姿を現す『ドラゴンズドグマ2』は、かつてのような興奮を与えてくれるのか……それこそが、筆者の抱いていた“不安”の正体でした。

■令和になっても楽しかった、ポーンと挑む乱戦と冒険

2024年にリリースされるオープンワールド・アクションRPGとして、『ドラゴンズドグマ2』のバトルは面白かったのか。まず結論から述べさせていただきますが、少なくとも筆者の感覚では、本作のバトルは十二分に楽しいものでした。

『ドラゴンズドグマ2』のバトルシステムは、前作のスタイルを継承し、改善点やパワーアップはもちろんあるものの、基本的な部分は変わっていません。近接、遠距離、魔法をそれぞれ得意とする様々なジョブによってバトルアクションが大きく変わり、「ポーン」と呼ばれる仲間たちと最大4人で戦うゲーム性は、本作でもそのままと言っていいほどです。

基本的な構造はそのままで、しかしなぜ今でも面白いと感じたのか。それにはいくつかの理由がありますが、「この2024年でも埋もれていない独自性」がそのひとつでしょう。

確かに、アクション性の高いオープンワールド作品はかなり増えました。ですが、「最大4人の仲間で戦うアクションバトル系のオープンワールド」で、かつシングルプレイのゲームとなると、途端に数が少なくなります。一時的に共闘する作品は多いのですが、終始4人のパーティで、となると2024年現在でもかなり数が絞られます。

しかも4人パーティの戦いは、各自が勝手に戦うわけではありません。プレイヤーが操作する主人公(覚者)を除いた3人は、AIが独自の判断に基づいて動かします。

ポーンにはそれぞれ性格が割り振られており、支援型の「献身」や生存重視の「才略」など4タイプに分かれています。この性格とジョブを組み合わせることで、「覚者のHPやスタミナをサポートしてくれるメイジ」や、例えば覚者を跳ね上げて大型の敵に飛び移らせてくれる「カスタムスキルを使った連携を提案するファイター」といったポーンと一緒に戦うことができます。

戦況や覚者の状態を判断し、攻撃や防御、支援を使い分ける仲間と共に、多数の敵や強敵と戦う──こうした遊び方はかつて、オンラインゲームやオフラインの協力プレイなど、他のプレイヤーの存在なくしては味わえないものでした。しかし『ドラゴンズドグマ』はシングルプレイでそれを可能とし、その楽しさは令和でも通用すると『ドラゴンズドグマ2』が証明してくれました。

ポーンたちはただ戦うだけでなく、バトルにおいては鼓舞する声を上げたり、自身の行動を口頭でも伝えるなど、一体感を覚える台詞を頻繁に飛ばします。また探索中も、言動で冒険をサポートしたり、未知の発見に驚きを魅せたりと、一人旅では味わえない豊かな反応を楽しませてくれるのです。

一人旅も決して悪いものではありませんが、「オンラインゲームのような共闘感」と「自由気ままに振る舞えるシングルプレイ」という一見相反する要素を両立させ、それが楽しいと改めて実感させてくれるのは、『ドラゴンズドグマ2』が持つ魅力に他なりません。

この面白さを実感できるのは、「ポーン」の存在あってこそ。反応、アクション、連携行動がいずれもパワーアップしており、前作経験者の期待を裏切らない「あの時の楽しさ」を味わわせてくれます。また、今回初めてシリーズに触れるという人も、「誰かと一緒に戦う楽しさと、シングルプレイゆえの気楽さの融合」という体験が刺激的に感じられることでしょう。


■カプコンが放つ、“ちょうど良い”アクションの手応え

ポーンとの共闘感が大きな魅力ですが、バトルシステムの“ちょうど良さ”も、プレイ意欲を刺激する点として外せません。

開発がカプコンなので、「アクション性が高くて難しいのでは」と警戒する人がいるかもしれませんが、一般的なプレイヤーであれば恐れる必要はなし。少なくとも探索中に出くわす相手は、攻撃を食らっても巻き返せる場合が多く、一撃で死ぬような強烈な攻撃は(今回プレイした範囲では)ありません。

敵も徒党を組むので連携が決まるとHPをガリガリ削られますし、回復を怠ると死ぬこともままありますが、それは互いに同じ条件。連続攻撃中の敵をポーンが叩き伏せたり、素早く回復してくれたりと、集団戦vs集団戦ならではの乱戦が、いい意味でメリハリになっています。

例えば、ある1戦で負けてしまっても、格上の相手でもない限り、再戦すれば勝利できる可能性は十分にあります。しかも、デスペナルティ(最大HPが一定値減った状態で再開、宿屋や野宿で一泊するとデメリット解消)こそありますが、その戦闘の直前からやり直せるので再戦まで早く、気持ちが途切れません。

アクション性が強い一方で、フレーム単位の防御や回避が前提といったシステムではなく、展開次第で戦いの結果も大きく変わる絶妙なバランスなので、戦闘に負けても「次こそは!」と改めてプレイできます。気持ちが萎えにくいというのは、目立ちにくいものの、決して侮れない美点です。

■「ロックオン」しないことで広がる間口

また、本作のバトルが“ちょうど良い”バランスになっている理由のひとつは、「ロックオンがないからこそ」だと感じました。敵と戦う3Dアクション系のゲームの場合、最近はほとんどの作品に「ロックオン」の機能があり、カメラが自動的にその敵を追尾してくれます。

プレイヤーの都合としては、ロックオンがあると敵を見失わず、戦いやすくなります。しかしゲームというのは、便利なだけだと面白くなりません。ボタンを連打しているだけでどんな敵も倒せるゲームは、それだけだと次第に味気なくなります。そのため、どこかでプレイヤーが“苦労”し、そして乗り越えなければ、達成感や爽快感が生まれません。

ロックオンがあるゲームだと、「敵を捕捉し続ける」といった手間がなくなるので、別の部分に“苦労”を入れる必要があります。タイミングの見極めであったり前準備が必要だったりと、その形は様々ですが、“苦労”するためのなんらかの要素が加わり、それが時に“難しさ”や“手間”に繋がることも珍しくありません。

『ドラゴンズドグマ2』には、いわゆる「ロックオン機能」がありません。カスタムスキルの中には、対象を捉えるロックオンに似た機能もあるものの、それは「目標に狙いを付けている状態」に過ぎず、敵が大きく動くと簡単に外れてしまいます(カメラをその敵に固定して追尾する機能がないため)。

また、通常攻撃や一部のカスタムスキルは、自動的に敵がいる方向に攻撃してくれますが、これは攻撃方向の補正に留まっており、カメラ自体は動きません。

一見すると「ロックオンなし=プレイヤーが不利」とも思えますが、敵を捕捉する手間をプレイヤーに負わせている分、他の部分の負担が少なくなっている、と考えることができます。これはあくまで個人的に感じたものですが、本作からは「やることが多い分、ひとつひとつの負荷は小さい」という印象を受けました。

負荷が全体的に広がってる分、個々に求められる精度が(おそらく)抑えられ、バトルの難易度が“ちょうど良い”感じに着地したのでしょう。無論これは、開発陣が狙った上での難易度だと思われるので、優れたバランス感覚の妙と言えます。迫力あるバトル映像などから受ける印象以上に、間口が広いゲームに仕上がっていました。


■前作で満たされなかった、「広大な世界の冒険」への夢が叶うのか?

「オープンワールドながら手応えのあるアクション」「ポーンとの共闘感」という前作の独自性が、『ドラゴンズドグマ2』でも楽しく感じられるのか。それが最も大きな“不安”でしたが、気兼ねなく共闘できる醍醐味は2024年でも健在で、それを実現させた作り込みにも感銘を受けました。

ですがもう一点、個人的に気になっていた“不安”があります。それは、本作に用意されたオープンワールドの規模です。単なる広さだけでなく、どれくらいの“冒険感”が味わえるのか。ここも気がかりなポイントでした。

というのも、前作の『ドラゴンズドグマ』は、オープンワールドなのに手応えのあるアクション、「ポーン」と共に挑む乱戦といった独自要素が評価されましたが、一方で多くのユーザーが不満を抱いた部分があります。それは、“冒険感の少なさ”です。

オープンワールドの定義に「基準となる明確な広さ」は含まれていませんが、当時の同系作品と比べても、冒険の舞台は正直手狭でした。暗闇に支配され見通しの効かない夜の戦い、不意に現れる巨大なモンスター、先が見通せないダンジョン、様々なサブクエストと、冒険心を刺激する要素はいくつもあったものの、その頻度やバリエーションは正直物足りません。またフィールドの広さも、シンプルに不十分でした。

バトルの混戦感は本作でも楽しめましたが、前作で満たされなかった“オープンワールドで繰り広げる冒険感”は改善されているのか。今回のプレイでは、この点も重視しながら臨んでみました。

■矢継ぎ早に訪れる“小さな驚きと発見”

こちらも先に結論を述べると、『ドラゴンズドグマ2』は不安を覆すに足る“冒険感”のある作品に仕上がっていました。25時間プレイした時点で、埋まったマップは全体の1/4ほど。同じ場所を繰り返し探索したり、長時間の行き来もあるので、効率的に進めればもっと短時間で埋まると思いますが、これだけ遊んでもまだ全容が見えないのは、遊び応えという意味では非常に期待が持てます。

特に嬉しかったのは、単純なマップ自体の広さだけでなく、“冒険”の密度が上がったこと。例えば普通に道を歩いているだけでも、通常遭遇の戦闘に加え、明らかに潜伏している「不意打ち」、襲われている人の「救助」、たまたま出会った人からの「依頼」、大型モンスターとの「遭遇」に「乱入」と、偶然出会う出来事だけでもバリエーションが豊かに揃っています。

あと、この点はネックに感じる人もいると思いますが、本作では移動手段が限られています。特定の区間を結ぶ「牛車」や、限定されたファストトラベルなどもありますが、(特に序盤は)徒歩の移動がほとんどです。

サブクエストの関係で遠くの村へ行く際、そこまで徒歩で向かうのは面倒と考える人もいることでしょう。感じ方はそれぞれなので、もちろんそれも間違いではありません。ですが『ドラゴンズドグマ』は、配慮が足りずプレイヤーに不便を強いているのではなく、移動の過程に“冒険”を盛り込むゲームデザインを採用したのだと思われます。

前述した「不意打ち」や「救助」、「遭遇」など、ハプニングに出くわすのも冒険の一部ですし、何気ない移動の最中に意味深な建造物を見つけたり、思わぬ場所に洞窟の入り口を見つけたりと、“小さな驚きと発見”が矢継ぎ早に訪れます。実際の計測ではなく体感での話になりますが、初見の地域を探索している時、その驚きや発見が数分くらいの間隔で訪れることもしばしばありました。

徒歩での移動が敬遠されがちなのは、「移動しているだけ」という無味乾燥な時間を味わいたくない、という理由から来るものでしょう。もちろん筆者も、味気のない移動は遠慮したいところ。ですが『ドラゴンズドグマ2』の場合、移動の最中に“冒険”が詰め込まれており、敵との予期せぬ遭遇から未知の発見まで、緩急のついた展開が待ち受けています。

さすがに、探索し尽くした地域を2度、3度巡っても飽きない……とまでは言えませんが、1度目で見落としていた発見と出会うこともあり、再訪もなかなか侮れません。それくらい、“小さな驚きと発見”が徹底して随所に盛り込まれているので、冒険と移動が同じ意味と言っても過言ではないくらいです。

■ダンジョン巡りで溶けていくプレイ時間

移動に“冒険”を詰め込んだ『ドラゴンズドグマ2』ですが、その中でもテンションが特に上がるのは、ダンジョンを発見した瞬間です。どんな敵が、トラップが、そしてお宝が待ち受けているのか。想像と期待が一気に膨らみます。

本作について特筆したい点のひとつが、用意されたダンジョンの多さ。プレイの途中なので総数はまだ分かりませんが、25時間ほどプレイした範囲(最初の国をあらかた探索)では、優に20を越すダンジョンが確認できました。

ダンジョンのほとんどは洞窟ですが、立体的に入り組んだ遺跡などもあり、いずれも探索意欲を刺激するものばかり。規模感はまちまちですが、出入口が複数あるダンジョンも珍しくなく、意外な場所に出ることも。全体マップを確認して、「こんなに移動してたのか」と驚かされたこともあります。

冒険の密度の話とも関係しますが、一例を紹介すると、道すがらで出会った人物に護衛を頼まれ、その後をついていくとフィールド形式のダンジョンに突入。先々で湧き出るアンデットを撃退しつつ先に進み、目的地に辿り着いて護衛任務が終了しました。

しかし、ダンジョン攻略という意味ではまだ途中なので、引き続き探索を行うと、大型モンスターと出会ったり、山中を貫くダンジョン(ただし短め)があったりと、想像以上の広がりが待ち受けています。

さらにその先には古びた神殿があったり、そこで意外な出会いが待っていたり(その内容は、実際にプレイしてお確かめください)と、新たな冒険の一幕がめくるめく展開を見せました。

これは特に濃密な例ですが、たったひとつの護衛依頼がきっかけで冒険が予想外に拡大していくのも、『ドラゴンズドグマ2』が持つ醍醐味と言えます。

前作では食い足りなかった“冒険感”は、広大と呼ぶにふさわしい舞台と、手が空く暇もないほどの探索要素により、大幅な充実を得た『ドラゴンズドグマ2』。“時間が溶ける”を、形容ではなくリアルに体験した、いい意味で「非常に罪深い」ゲームでした。


今回は、『ドラゴンズドグマ2』を遊ぶ前に抱いていた大きな2つの不安をもとに、それを払拭するゲーム性とパワフルさを味わった体験をお届けしました。

少なくとも現時点の筆者は、ポーンと一緒に戦うアクション性の高い乱戦は今プレイしても十分面白いと感じましたし、オープンワールドのボリューム感と詰め込まれた“冒険”にも満足しています。

もちろんこの他にも、ジョブごとに変わる立ち回りや手触りの違い、そこから生まれる爽快感、育成の醍醐味、先が気になるメインストーリー、サブクエストを通じて描かれる人間関係など、その魅力は数限りなく存在します。

一方で、全てが手放しで褒められるかと言えば、残念ながらイエスとは言い切れません。敵の種類はさほど多くないので、お馴染みの面子と戦う印象が付きまといますし、アイテムの管理や使用時のUIも改善の余地アリ。ポーンの挙動も怪しい時があり、気づいたら落下死していたことも。こうした点は、冒険ゆえの不便さとはまた別で、人によっては大きな不満と感じてもおかしくないでしょう。

決して完璧なゲームではありませんが、揺るぎない魅力とプレイが止まらない没入感が大きく後押しする『ドラゴンズドグマ2』。世界と物語の壮大さ、そこで見つける小さな発見と喜び、この双方をポーンと共に体験できるひとときが、極上の冒険へと導いてくれるでしょう。

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