大阪府/中央卸売市場再整備、事業者が計画検討へ24年度から3カ年で

大阪府中央卸売市場(茨木市宮島1)の再整備計画を検討する関係者会議は19日、2023年1月に策定した基本計画たたき台に基づく議論を中止し、市場内の卸売・仲卸事業者が24年度から3年かけて独自に計画案を策定することを決めた。事業者側が上昇傾向にある工事費や、再整備スキームで原資を生む民間収益施設の賃料収入の先行きが不透明で、府一般会計から整備費の投入が行われない実情に懸念を改めて表明。事業者・府とも会議の継続を断念した。事業者は24年度早々に市場の常駐代表者会議を開き議論を始める。
事業者と府が協議し、府が提示したたたき台には、広域中継拠点市場化(ハブ市場化)や機能強化、再整備規模、概算整備費、民間資本を活用する事業手法などを示した。コールドチェーン(低温流通体系)や品質管理などを機能強化する方向性も盛り込んだ。
再整備は、場内事業者らが食品などの品質維持に必要な市場の低温化を求めたところに端を発した。再整備計画を巡って、府は民間資本の活用を前提とし、一般会計からの繰り入れは行わないとの方針を事業者に伝えていた。一方、繰り入れがなければ将来のリスクに対応できないとの事業者の意見も多く、基本計画の取りまとめのめどが立っていなかった。
19日の会議では=写真下、事業者側がたたき台を「いったんリセットし、今後3年程度かけて、課題・問題点を精査し、新たな事業手法」などを審議するなどの意見を示した。
府側は会議の目的が基本計画の取りまとめにあるため、会議の廃止を説明した。またコールドチェーンの実現については今後、市場企業会計の範囲内で対応する考えを表明。
会議の座長を務める小野雅之摂南大学教授は、事業者側の計画案は、府とコミュニケーションを図りながら24~26年度に検討し、27年度当初に案を府に示すスケジュールを提示、了承された。その後、事業者側の計画案について協議する新たな会議を設置する方針も確認した。
小野座長は事業者側に▽市場の活性化▽施設の在り方▽施設利用案-について検討するように求め、新施設整備の工夫についても検証するよう要請した。
市場の敷地面積は約20ヘクタール。開業から40年以上が経過しており、老朽化が進んでいる。

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