飛島建設/建設工事振動対策「防振堤」に新タイプ追加、15ヘルツ以下にも適用

飛島建設は建設工事振動の伝播(でんぱん)経路となる地表面に設置するだけで振動を低減する「防振堤」に新タイプを追加し、適用範囲を拡大した。基礎に取り付けたバネの上に重りを積層した「振動系」タイプで、これが共振して発生する二次波が入力波に干渉し振動を低減する。比較的揺れを感じる15ヘルツ以下の振動が予想される地盤条件の建設現場などをターゲットに据える。
防振堤は埼玉大学大学院理工学研究科の松本泰尚教授との共同開発。2020年に実用化した初期型は敷鉄板上に大型土のうを複数設置する「質量体」と呼ぶタイプ。接地面の剛性と質量により地表面の変位を拘束し振動を抑制する仕組みだ。シンプルで安価な半面、土のうの作成が必要で、数年で劣化するため転用が難しいなどの課題があった。
今回は振動系の開発に合わせ、質量体の施工性と耐久性向上を目的に仕様を変更。土のうではなく、鋼製枠(高さ312ミリ、幅932ミリ、長さ1847ミリ)に再生骨材を詰め込んだ重さ950キロの重りを複数積層する仕様とした。約15ヘルツ以上の幅広い振動に低減効果を発揮する。
振動系は基礎に設けたバネの上に仕様変更した質量体を重りとして積層する。振動系が共振して発生する二次波が入力波に干渉することで振動を抑制。重りとバネの組み合わせで固有振動数を調整する。質量体では低減効果が得られにくい15ヘルツ以下の振動にも適用できる。
要求される低減効果や現場条件に応じて質量体と振動系を使い分ける。実大実験では両タイプとも低減効果を確認済みだ。現在は国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録申請中。今後、藤崎商会(広島市中央区、藤崎和彦代表取締役)を通じて販売とレンタルを開始する。適用実績を蓄積しながら、地盤条件と低減効果の関係性の検証も続けていく。

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