セメント関連3社24年春の採用計画、全社が目標人数にとどかず/本社調査

日刊建設工業新聞社がセメント関連メーカー3社を対象に実施した人材採用アンケートによると、2024年4月の新卒(大学・大学院卒、高卒・高専卒などを含む総数)は171人で、前年度実績よりも5人増加する見通しだ。住友大阪セメントが前年度より23人増を見込むものの、残り2社は減少となる予定。定年退職者の補充などを理由に人員増強が必要な状況だが、3社とも目標数には至っておらず、母集団形成に苦戦する状況がうかがえる。
新卒採用数は太平洋セメントが87人と最多だったが、目標としていた122人を大きく下回った。同社は「売り手市場の進行に伴う採用母集団形成の難化」を課題に指摘する。「工場などの生産現場を志望する学生が減っており、採用目標達成に苦戦」(住友大阪セメント)、「母集団形成、採用手法・時期などの見直しが必要」(UBE三菱セメント)との声も上がる。
中途採用は、各社とも増やす方向となる。住友大阪セメントは、技術系の新卒・中途採用を対象にダイレクトリクルーティングを導入した。太平洋セメントは、昨年からリファラル採用とアルムナイ採用(カムバック採用)を実施。多様な手法を取り入れながら、目標人員の確保に努める。
想定外の自己都合退職に苦慮している企業もある。定着率向上に向けた対応も重要で、研修などを拡充する方向だ。UBE三菱セメントは「入社後一定期間を経たタイミングで行うフォローアップ研修の実施も検討」とする。
太平洋セメントは採用競争力を高める狙いから、24年度の新卒初任給を引き上げた。
人材獲得競争が厳しさを増している中で、魅力を高める取り組みが求められる場面が続きそうだ。

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