全中建/24年度事業計画を決定、10年先を見通せる予算確保必要

全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は、2024年度事業計画を決定した。将来にわたる中小建設業の担い手確保に向け、安定的に10年先を見通せる公共事業関係費の確保が必要不可欠と強調。現在は補正予算で計上している国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の公共事業関係費について、当初予算で安定的に措置するとともに地方に根付いた中小建設業者の受注機会を確保するよう訴えていく。
建設業法や公共工事入札契約適正化法、改正公共工事品質確保促進法の担い手3法改正を想定し、現場の働き方改革や生産性向上、物価高騰分の適正な価格転嫁や労務費の支払いなどを重点的に展開。インフラ整備や災害対応など「社会に貢献する力強い地場産業」としての役割を果たせるよう、さまざまな施策を検討し国土交通省など行政機関に要望する。
最優先課題に掲げるのが10年先を見通せる公共事業関係費の確保だ。23年度も全国の会員団体や国交省など発注機関と開く「全国ブロック別意見交換会」などを通じ、国土強靱化5か年加速化対策の公共事業関係費を当初予算で安定的に確保することと、5か年加速化対策の後継となる国土強靱化実施中期計画の早期策定と5か年加速化対策を上回る事業規模の確保を呼び掛ける。適正な予定価格や工期の設定、工事発注・施工時期の平準化なども働き掛ける。
直面する資材高騰や労務費などの上昇にも対応。担い手3法の改正動向も注視しつつ、必要に応じて契約変更による適正な価格転嫁が進むよう求める。全中建会員企業の大部分が市町村発注工事を主力としている状況も踏まえ、担い手3法の取り組みが行き届くよう要望していく。
受注者の適正利潤確保にも配慮。最低制限価格率95%以上の設定や、低入札調査基準額・最低制限価格算定式の一般管理費率引き上げなども求める。
全中建は事業計画決定に併せ、9項目で構成する24年度の活動スローガンと働き方改革宣言も決定した。

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